イングランド最古の叙事詩Beowulfと渡辺綱伝説のモチーフの類似については、島津久基の『羅生門の鬼』で詳細に論じられて以来、衆目を集め、両者の比較検討も行われるところとなった。本稿は、Beowulfと日本の古典文学における類似するモチーフの比較というテーマの一環として、『古事記』における「国譲り譚」と『出雲国風土記』の「安木郷猪麻呂説話」を取りあげ、類似するモチーフの比較検討を行った。前者については、新来の神/英雄が在来の神/怪物と素手で闘い、相手の手/腕を害し、その結果在来の神/怪物は湖に逃走し、新来の神/英雄に追われて完敗し、国譲りが完成する/斃される、という類似がみられる。後者については、娘/息子を害された父/母が復讐し、斃した相手から片脛/片腕を奪い返し、相手の死骸を曝す、という類似が見られる。本稿では、この類似についての考察を行い、加えて、話型の比較考察をすることの意味を見出し、今後の研究につなげる展望を模索した
publisher奈良記紀万葉等の最古の文献に遺る、漢語およびごく一部の半島出自と見られる語以外の言葉は、総じて一般にヤマトコトバ(和語)と呼ばれている。それらに、平安初期のかな資料等も含めて、判る限...
2004年ウィスコンシン大学で開催された「第11回国際宮廷文学会大会」で、アーサー王物語中の一挿話「アストラットの乙女」と『南都本 平家物語』の「実定厳島参詣事」と、「有子内侍入水事」から「有子内侍」...
本稿では、芥川龍之介の童話作品の表現特徴を明らかにするために、芥川の指標比喩を中心に扱い、「説話物」「切支丹物」「現代物」「童話」といった4つの題材において量的側面と質的側面から調査を行った。ここでは...
『日本霊異記』にある「道場法師説話」の鬼退治と『ベーオウルフ』のグレンデル退治とは、類似する部分が多い。「道場法師説話」の鬼退治譚がもつモチーフは、小異を除きすべて『ベーオウルフ』にもある。島津久基著...
1901年英国のY. PowellがBeowulfと渡辺綱伝説の類話性を指摘、同じ頃東大で小泉八雲が同様な指摘を講義、1903年G. L. Kittredgeが、1909年W. W. Lawrence...
本居宣長の『古事記伝』は、近代的な古事記研究の先駆として高く評価されているが、一方『古事記』そのものが大きく読み替えられ、作り替えられていく「神話の再解釈・再創造」の実践が見られる。それを象徴するのが...
publisher奈良「宇県亜相巧語」(古今著聞集序)などともてはやされながら、その後散佚した宇治大納言物語は、現存宇治拾遺物語の今昔物語集に重なって出る物語群を中心に、その「巧語」の原型が遺っている...
本稿では英国最古の叙事詩『ベーオウルフ』に登場する寵臣アッシュヘレと、『太平記』巻第三十二が描く渡邊綱の話における話型の類似性を検証する。アッシュヘレは妖怪グレンデルの母女怪に連れ去られ、殺害される。...
publisher奈良『太平記』は歴史的事件を素材にした史書という性格の故に、あるいはその分量の膨大さの故に、「抜書」とか「抜萃」とか呼ばれる抄出本によって享受されることが少なくなく、それら具体相の一...
16世紀後半、キリスト教布教・伝道を目的に来日した宣教師によって伝えられ、日本語に翻訳された『イソップ寓話集』は、ローマ字口語体で書かれた『イソポのハブラス』と国字文語体で書かれた『伊曾保物語』の二種...
埼玉県越谷市1914年に朝鮮から留学したナ・ヘソク(羅蕙錫)のエッセイと小説を通して、1910年代の日韓の政治状況及び文化状況の交点に照明を当てる。1910年代は、明治国家主義を推進した明治第一世代に...
本歌取りを得意としていた藤原定家は、本歌を巧みに想起させるように本歌取りの歌を創作している。一方で本歌との違いを明かにし本歌取りの歌と本歌とが別の歌であることをも示している。それにより、読み手は本歌と...
近世歌舞伎脚本の国語史的な資料性を検討する基礎作業として、黙阿弥の世話物におけるハ行四段活用動詞の音便形を取り上げ、計量的に調査した。その結果、促音便が圧倒的である同時代の他のジャンルに比べて、歌舞伎...
昔話の中で山姥は、自分の身体からさまざまな財宝などを排泄したり分泌していくらでも出せる、不思議な力をもち、また死ぬと死体からも、財宝や作物などが発生するように、物語られてきた。これは記紀に記された作物...
我が国の「甲賀三郎伝説」は、話型の国際分類であるAT301に属すると指摘されている。古英詩『ベーオウルフ』はAT301の元祖ともみなされるが、一方で、この話型に属するか否かの議論がある。本稿は、『ベー...
publisher奈良記紀万葉等の最古の文献に遺る、漢語およびごく一部の半島出自と見られる語以外の言葉は、総じて一般にヤマトコトバ(和語)と呼ばれている。それらに、平安初期のかな資料等も含めて、判る限...
2004年ウィスコンシン大学で開催された「第11回国際宮廷文学会大会」で、アーサー王物語中の一挿話「アストラットの乙女」と『南都本 平家物語』の「実定厳島参詣事」と、「有子内侍入水事」から「有子内侍」...
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本稿では、芥川龍之介の童話作品の表現特徴を明らかにするために、芥川の指標比喩を中心に扱い、「説話物」「切支丹物」「現代物」「童話」といった4つの題材において量的側面と質的側面から調査を行った。ここでは...