少子高齢化の進行により,近年,福祉のまちづくりの動きも見られるようになり,あらためて地方公共団体における社会福祉部門における行政運営のあり方が問われている。そのような中で2016 年総務省から,自治体戦略2040 構想研究会の報告書が発表された。少なからず地方公共団体のあり方に関して,疑問点も指摘されている。そこで本稿では,近年の社会福祉行政の動向を踏まえ,自治体戦略2040 構想研究会報告書と対照させつつ,地方社会福祉行政の今後の方向性を検討した。その結果,明らかになったのは,以下の点である。 住民自治を基本に,福祉分野における様々な実践活動に関する生活圏域の取り組みと広 域的な取り組みを可能にする仕組みづくりに向け,住民の声を軸に,住民の力によって運 営する仕組みづくりが必要となる。これを具体的に実施するための企画と意思決定は,あ くまで地方自治の本旨に基づいて,住民が行うことができるようにすべきである。その意 思決定すべき内容の中に, ① 身近な総合相談機能 ② ケアサービス提供機関 ③ 地域福 祉の推進 の三点をしっかりと位置づける必要がある。 こうした点を基本に地方公共団体は,社会福祉行政の今後の方向性を見極めつつ取り組 むべき事項を整理し,長期的視野に立脚して福祉のまちづくりの姿を企画する必要が迫っ ていると思われることが明らかになった。journal articl