公印のうち,郡印は令文に規定がないものの,その印の規格は印影・出土印・伝世印を通じて,平均方1寸5分程度(約4.5cm)であり,国印(方2寸,約6cm)と郷印(方1寸,約3cm)の中間の大きさといってよい。しかも年代の明確な文書に押された郡印の印影に基づいて編年的に並べてみると,天平20年(748)の山背国宇治郡印が篆書体であり,天平勝宝から天平宝字年間(757~765)にかけて楷書体(天平神護2年〈766〉の「足羽郡印」楷書体例あり),その後はすべて篆書体を呈している。この時期は国印の改鋳時期でもあるが,国印の改鋳は書体の変更にまでは及んでいない。郡印の篆書体から楷書体への変化は,次のように説明できるであろう。そもそも篆書体は,中国の秦代に始皇帝によって“皇帝の書”と位置づけられ,臣下の用いる隷書体と区別されたものである。天平勝宝~天平宝字年間は,藤原朝臣仲麻呂(恵美押勝)が絶大な権力を握り,中国にならった諸改革を実施したのは周知のとおりである。仲麻呂の印に対する執着の強さは,印影を伝える藤原氏の家印が,他の私印では例をみない公印並みの典型的な篆書体であり,また自ら恵美家印を公印と認めさせたりした施策などからも明らかである。仲麻呂が,皇帝の書体である篆書体は専ら八省印や国印(クニノミコトモチとしての国司の使用印)に用いるものとし,一方郡印は中国で臣下の用いる隷書体から発展した楷書体に限定し,地方社会において国印と明確に識別させた施策であると推測できる。仲麻呂政権の崩壊とともに,宝亀5年(774)以降の郡印が再び篆書体に戻る傾向は,この推測を裏付けているであろう。これらの印影に基づく郡印の編年に,これまで年代不明とされた出土・伝世の郡印をあてはめた時に,はじめて妥当な年代を与...
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