The effects of competencies and reading habits on the income of graduates majored in social sciences and humanity in a Japanese university

本稿は、分野の特性を踏まえた専門コンピテンス、汎用コンピテンス、読書習慣が大卒者の所得に対して与える影響を明らかにすることを目的とした。データは、日本の1 大学が人文社会系5 分野の卒業生に対して実施した調査（分析対象人数859 人）を基とし、回帰分析とパス解析を行った。分析結果からは、大学卒業時の専門コンピテンス習得と読書習慣は卒後の所得に正の影響を与えるが、その経路は専門コンピテンスの重要度認識を通じるなど、専門コンピテンスと職とのレリバンスの影響が示された。もっとも社会科学（経済学やビジネス）を専門とした場合はコンピテンス認識を通じた所得への経路が示されるが、人文学（歴史学）では示されないなど、分野による差が見られた。ビジネス分野では、コンピテンスと所得の関係に男女差は示されず、専門コンピテンスのうち、ビジネスに関連する統計調査をより習得し、企業活動の理論的考察に関連する内容を重要だと認識する度合いが高い場合に所得が多い傾向が示された。31