古墳時代の主要な武具である短甲・頸甲・冑について、生産時の系統差に基づいて組み合わせの変遷と分布を検討し、その社会的意義の一端を論じた。鉄製甲冑の導入当初は生産と流通は独占的に掌握されており、その配布は各地の有力者の一元的な格差づけに寄与していたが、やがて新来工人集団の掌握と組織化を経て複数工房における生産とそれぞれの工房を掌握する上位集団による各地への配布体制が構築される。それは結果として甲冑の配布を差配した各集団の自己論理による独立的な生産・配布体制の成立へとつながり、甲冑を用いた一元的な格差づけの論理と社会的機能はその役割を終えていく。これまで倭王権による一元的な生産と配布が論じられていた鉄製甲冑について、王権内における複数勢力による生産とそれらと結びついた各地への配布の実態を論じ、多元的な甲冑の授受の様相を明らかにした。It has been thought that almost all of the iron armor (cuirasses, pauldrons and helmets) produced during the Kofun period, which spans the 350 years from the middle of 3rd century to the end of the 6th century, was exclusively manufactured and distributed by the Yamato government and this played an important socialrol e in reinforcing the power of the Yamato regime. I make clear...
個人情報保護のため削除部分あり南北朝初期室町幕府において、下文等将軍発給文書の後に出された執事施行状は、内乱初期の混乱した社会情勢に対する幕府の対策として出現した考えられる。守護に遵行による下文の実現...
本稿の目的は、①石黒忠悳談『乃木式義手』、②乃木式義手を装着して煙草を吸う癈兵の写真葉書、③ドレスデン衛生博覧会の乃木式義手に関する解説文の独文和訳、といった史料を紹介することを通じて、乃木希典、石黒...
本稿は、一七世紀末―一八世紀初頭に行われた江戸幕府による上方支配の再編を明らかにするものである。当該期の大きな特徴として、上方で行われていた激しい領主交代が激減すること、転封を繰り返していた譜代大名が...
土器の移動は、縄文時代以来さまざまなかたちで認められる。なかでも古墳出現期の土器の移動は、須恵器出現以前の広域流通を果たしていない生産体制のもとにあって、日本列島の各地の土器がそれぞれの様式圏を越えて...
律令制成立期の紡織体制について、特に平織の布や絹の生産の仕組みは史料の制約からほとんど明らかでない。本稿では、七世紀後葉以降に宮都や地方の官衙遺跡から多く出土する綛かけ・糸枠について、機能上必要な加工...
調庸制は日本古代律令国家の収取制度の一角を占め、中央財政を支えていた。調庸物の納入に際しては、物実の検査に加え、帳簿などを用いた公文勘会によって監査がなされるが、これまでは天長・承和年間に公文勘会制変...
鏃は古墳時代全期間を通じて、多くの古墳からの出土がみられる器物であり、その変遷観の確立は、ひろく古墳の年代決定に資するものである。またそのような、どの時代の古墳からも出土するという鏃の資料的特性は、同...
日本古代における天皇親衛軍の研究は、井上光貞氏が口火を切つて以来、急速に発達した。しかし、従来の研究では、天皇を中心とする大和朝廷の軍隊と、天皇に直属する私的軍隊との区別が明確にされていなかったように...
個人情報保護のため削除部分あり近年、郡家間交通路を伝馬制等と結びつけて「伝路」と呼称し、律令期における交通路体系が駅路と「伝路」により構成されていたとする見方がある。しかし、伝馬や伝使は、郡家間の交通...
個人情報保護のため削除部分ありギリシア人の連邦国家はヘレニズム時代に重要な役割を演じたものであり、それは都市国家の次元を超えていた点でポリス理念の終焉を意味するものと考えられている。それにも拘らず、同...
個人情報保護のため削除部分あり幕藩体制確立期における藩主権力の確立は、江戸時代初期の問題として極めて重要である。したがって、藩主権力の確立を示す藩主親政の実態ならびに藩機構の整備を江戸時代初期の時点に...
個人情報保護のため削除部分あり中世寺院による強訴の実態は、悪僧による暴力的・暴発的な濫行ではなく、政治状況に柔軟に対応できるよう大衆に統御された訴訟行為であった。院政期の神人と大衆の訴訟の共同化によっ...
近世以来日本西南部は長床犁使用の牛耕地帯としてよく知られているが、中国山系の牛生産地帯と畿内需要地帯との流通については必ずしも十分究明されていない。本稿は、牡牛取引によつて特徴づけられる河内古市郡駒ヶ...
本稿は、孝徳朝立評が先行する如何なる地域編成を前提として遂行されたのかを考究するものである。大化前代の地域編成は、[A]国造―県稲置―国家民、[B]大小屯倉の伴造―部民、という国制を構成する二つの支配...
個人情報保護のため削除部分あり室町時代における延暦寺の政治史的な研究は、いままで主として、金融を営なむことによって京都に進出した山徒を中心に論ぜられてきた。しかし、この時代の延暦寺の政治史、とくに幕府...
個人情報保護のため削除部分あり南北朝初期室町幕府において、下文等将軍発給文書の後に出された執事施行状は、内乱初期の混乱した社会情勢に対する幕府の対策として出現した考えられる。守護に遵行による下文の実現...
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本稿の目的は、①石黒忠悳談『乃木式義手』、②乃木式義手を装着して煙草を吸う癈兵の写真葉書、③ドレスデン衛生博覧会の乃木式義手に関する解説文の独文和訳、といった史料を紹介することを通じて、乃木希典、石黒...
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