地震等の災害において、携帯電話の基地局が機能しなくなり、生命にかかわる情報を提供すべきネットワークのインフラが全く役に立たなくなるという問題が、実際に発生した。本研究では、耐災害性を持つ通信ネットワークを目指し、災害発生時にネットワークが停止する要因として最も多い電源の問題と次に多い通信路断の問題に着目し、網目等の形状に分散配置した通信機器ごとの電源を太陽光と風力による再生可能エネルギーとすることで解決を試みた。普段においても、再生可能エネルギーで独立駆動することで商用電源による電力の節約になる他、通常の無線LAN 機器として有線網でネットワークに接続することによりスマートフォンの普及により増加するトラフィックの処理や、山間部における通信路の確保によるデジタルデバイドの解消などにも役立つ。その電源構成の最適化として、実測した発電データと入手した気象データを基に、通信機器の独立駆動に必要な再生可能エネルギーの発電機とその変動を吸収する蓄電池の設置コストを最小とする構成を求め、消費電力量より数倍大きい発電量を得ることのできる太陽光パネルを用いる構成がコスト最小となることを明らかにした。また、風力発電と太陽光発電による出力の相関はほとんどないため、小型の風力発電機を太陽光パネルと併用して使うことで、コストが下がる可能性があることを示した。また、メッシュネットワークの通信機器と携帯電話基地局を再生可能エネルギーで独立駆動する場合において、ネットワーク全体の構成にかかるコストの比較を行い、同程度のコストで構築可能であることを示した。加えて、再生可能エネルギーから得られた余剰電力を売電する場合、より大きい太陽光パネルを持つ構成とすることによるコストの増分は売電価格より小さく、大きな太陽光...