B細胞の産生する抗体は外来抗原の認識・排除に関わり獲得免疫系において主要な機能を担う。クラススイッチ組み換えは抗体の抗原に対する特異性を変化させずに抗体の機能を変化させ、効率的な外来抗原の排除を促進する機構である。//抗CD38抗体及びIL-5により脾臓B-2細胞に共刺激を与えるとIgG1産生細胞への分化を誘導する。しかし、抗CD40抗体やLPSとの共刺激系においてクラススイッチ組み換えを誘導するIL-4は、抗CD38抗体との共刺激ではクラススイッチ組み換えを誘導しない。私はこの系に着目し、抗CD38抗体及びIL-4の共刺激系に更に別種の刺激を加えることでクラススイッチ組み換えを惹起できるのではないかと考え種々の化合物を検討したところ8-メルカプトグアノシン(8-SGuo)を加えることによってIgG1産生細胞への分化を誘導することができた。8-SGuoはTLR7のリガンドであった。//抗CD38抗体、IL-4、及び8-SGuoの共刺激系によるIgG1産生細胞への分化の際には8-SGuoはAIDの発現を誘導することによってクラススイッチ組み換えに寄与していた。一方、IL-4はクラススイッチ組み換えに伴う非相同DNA末端結合に関与する因子を誘導していることが示唆された。クラススイッチ組み換え特異的に非相同DNA末端結合を誘導する因子はその存在が示唆されているものの分子としては同定されていない。抗CD38抗体、IL-4、及び8-SGuoによる刺激系を詳細に解析することでその因子を初めとするクラススイッチに必要となる因子を同定する可能性が示唆される。//8-SGuoの機能を既知のTLR7リガンドであるロキソリビンと比較したところ、骨髄由来マクロファージや樹状細胞においては全くシグナル...