Factors for Choosing Nursing by Students with Bachelor's Degrees in Other Fields

目的：看護学以外の学問を専攻して大学を卒業し，就業経験を経るなどした後に看護に転向する社会人の 数が増加傾向にある。そこで，彼らが看護職になることを決め教育機関を選択するプロセスと，他分野での 学問的基盤を看護にどのように活用できると考えているかという点について，彼らの教育機関での体験を通 して語られる内容から分析することを目的として本研究を行った。 方法：看護学以外の分野で学士号をもち，看護基礎教育機関で学んでいる学生10名とのインタビューと， 彼らの通う教育機関に関する資料から得られたデータをもとにした。 結果：学士号を持つ看護学生が看護学を学ぶことになったきっかけは【就職難】や【キャリアの模索】を 体験したことであった。キャリアに悩んだ末に看護を選択したのは【看護への関心】があったからであった。 その関心と，自らが仕事に求めるものが合致すると【看護への志向】へとつながっていた。看護基礎教育機 関の選定にあたって影響が大きかったのは，【情報】，【生活の維持】であり，そのほか【学習環境・学習内容】， 【年齢】，【偏差値】も関係していた。大学で学んだ学問と看護学との関連については，異分野であり【遠回 りという認識】を持っていた。そして異分野である看護は全く初めて学ぶ学問であり，そこでは【大卒であ ることを強調しない】という認識につながっていた。さらに，大学で学んできたことよりも，【社会人経験 の重視】をする姿勢があった。 考察：景気の低迷時には看護職の人気が出るといわれているが，本研究でも関連する要因が明らかになっ た。また，教育機関選定には個人の情報収集能力が関係していた。過去に学んだ学問が看護学に活かされる と認識しているものは少なかった。多様な知識基盤を持った学生の参入は看護職の量的・質的な確保に寄与 する可能性があり，過去の学習経験を生かした看護教育のあり方を検討する必要があると考える