Uber den Dualismus bei KANT

デカルトの実体的二元論は、意志の自己克服という実践的過程において、ひとまず統一を見出すことができた。しかし、デカルトにおける善の概念はまだ普遍的法則性をもっていなかった。したがって,精神は≪健康の保持≫≪心の平静≫などに向い、身体からの受動性(情念)は、この仮言的目標に即して組織されたのである。もちろん、カントは実体的二元論には眼もくれない。それにもかかわらず,カントにおいて人間の行為は、相容れぬ二つの必然性(真理と善)の統一と解されている。心身の二元性が実践的に統一されるという点においてはデカルトと同様であるとしても、カントにおいては善の普遍的必然性が確立されているために心身の実践的分離が極限化され、それゆえにかえって統一への要求は深刻である。いいかえれば、カントにおける心身の二元性の問題は、行為における両者の統一の問題であるばかりでなく、分離された二つの必然的領域(科学と道徳)の統一の問題になっているのである。しかし,われわれが立っている現代の精神的状況のなかで、この統一はどういう指示を与えうるであろうか。なるほど、カントにおいて示されている心身分離と結合の実例は、科学への忠誠と人間の品位に対する尊敬の擁護である。しかし、現代という不信と選択の季節においてこの実例が教えるものはなんであろうか。われわれはカントにおける心身関係の問題を手引きとして、これに対するどのような解答を見出すことができるであろうか。さて、考察の全体は四章からなる。第一章では、カントによれば理論的には心身の区別がなくなるということを示す。しかし、だからといって、心身の問題がこれで全く消えてしまうのではない。心身分離以前の事実的生世界は、ここでは≪現象的実在性≫の源泉として質料(感覚)へ認識論的に変貌して残っているからである。第二章は、主観がこの事実界を対象化し合理化することによって、事実界が背後へ退き、≪対象≫と≪自我≫の認識論的対立が表面にあらわれてくるという対立の第一段階を問題にする。ただし、この場合はまだ、対象を支える自我は無内容な論理的主観にとどまっている。第三章では,この自我の自発性に対して実践的法則を提示する≪理性の事実≫が指適されることによって、自我が同時に一方では自由な主体としてあらわれ、他方では機械的対象としての自己としてあらわれるという対立の第二段階を取扱う。しかし、人間の行為はあくまで統一的であるから、第四章では、科学と道徳がカントにおいてどのように統一されるか、したがって人間とはなんであるかを見出そうとする。また、このことの現代的意義をも考察する。In der Erkenntnistheorie Kants ist das Problem des substantiellen Dualismus schon aufgelöst, denn "die Seele im Leben" bedeutet bei ihm nichts weiter als ein Gegenstand, der zu der mechanischen Zusammenhängen der Natur gehört. Dennoch bleibt bei Kant auch die Möglichkeit noch immer übrig, daß das theoretisierende Subjekt spontan und das praktische Subjekt intelligibel ist. Kant stellt also die theoretische Gegenständlichkeit als eine erscheinende Notwendigkeit und die Subjektivität des Menschen als eine übersinnliche Freiheit dar. Der Kantische Dualismus besteht daher aus diesen beiden Momenten. Unter der moralischen Teleologie vermeint Kant diese Auseinanderspaltung in eine systematische Einheit gebracht zu haben. Theoretisch ist diese Verbindung der Ontologie mit der Axiologie von vornherein unmöglich. Wenn diese Verbindung trotzdem in der menschlichen Situation zustande gebracht werden sollte, dann wäre es meines Erachtens erst durch dieselbe Spontaneität des Menschen möglich, die die Theorie von der Praxis einmal getrennt hat