ゾーンプレート オ モチイタ コウXセン イソウサ ケンビキョウ ノ ケンキュウ

硬Ｘ線顕微鏡は、透過力が大きく、半導体素子や生体試料などの厚い試料など、他の方法では観察することのできない試料を観察することができるが、試料にコントラストが付かないという問題も発生する。硬Ｘ線では物質は吸収よりも位相変化の方が大きいため、位相コントラストで試料を観察する方法は有利である。本研究はゾーンンプレートを用いたゼルニケ型の硬Ｘ線位相差顕微鏡を開発した。位相差顕微鏡開発の前段階として、ゾーンプレートを用いた硬Ｘ線顕微鏡を構築した。光源として偏向電磁石からの白色Ｘ線をシリコン２結晶分光器で９KeＶに単色化したＸ線を用いた。照明にはケーラー照明、検出器にはＣＣＤカメラと原子核乾板を用いた。顕微鏡システムの性能チェックのためにタンタルのテストパターンを使用し、水平方向に0.2μｍの線幅を解像することができた。次にゼルニケ型の位相差顕微鏡を構築するために位相板として、アルミピンホール型（λ/4回析光変調位相板）と金ワイヤースライス型（3λ/4,5λ/4,7λ/4 0次光変調位相板）の２種類のものを作成し実験を行った。Cuメッシュをテスト試料に用いた実験で、それぞれ位相コントラスト像を得た。得られた像を調べるために、両方の位相板について計算機シミュレーションを行い実験値と比較した。タンタルテストパターンによる位相差顕微鏡システムの性能チェックにより、アルミピンホール位相板で水平方向に0.2μｍ、金位相板では水平方向に用いたゾーンプレートの回析限界に近い0.1μｍ幅の線幅の解像に成功した。また吸収では見えない低コントラスト試料として、厚さ0.5μｍのＰＭＭＡ試料などの位相コントラスト像を観察することができた。また厚さ30μｍの石英板で試料を挟む含水試料を観察用のホルダーを提案し、直径2.8μｍのポリスチレン球を観察した。生物試料としてタンポポの花粉、珪藻土を観察した。結果として硬Ｘ線位相差顕微鏡の有用性を確認できた。筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成15年3月25日授与 (甲第3143号)付: 参考文献ゾーンプレートを用いた硬Ｘ線位相差顕微鏡の研究 ~ 横須賀，泰