The effect on the difference in the amount of visual information in the perceived passage of time during walking.

視覚情報量は，物事を考えたり把握したりする際や物事に集中する際に大きな影響を与えるとされている。主観的に時間を把握する際にもこのような視覚情報の量によって同様な状況が生じる可能性がある。しかし，視覚情報量と主観的時間感覚との関係は明らかになっていない。そこで本研究では視覚情報量と主観的時間感覚の関係性を明らかにすることを目的とした。健康な20から55歳（平均年齢24.3歳）の男性17名，女性7名，合計24名を対象に，視覚情報量が多い昼間と少ない夜間の2つの環境下において，屋外で歩行を行わせた。歩行時間を把握できない状況において，主観的に「5分経った」と判断するまで歩行を行わせ，2回の歩行時に時間を測定し，各歩行終了後にアンケートを実施した。その結果，昼間（308.4±39.3秒）および夜間（304.5±42.2秒）の両条件において，歩行時間に有意な差異は認められなかった。また，アンケート内容においても歩行条件間で有意な差異は検出されなかったが，時間感覚が変化した要因を「目に入る情報」との回答が最も多く，対象者の多くが「視覚情報」を頼りに時間を把握している可能性が示唆された