application/pdf明治維新史研究の中で、長州藩は、常に分析の対象とされてきた。このため、長州藩の幕末・維新期の研究は、必然的に、政治史・経済史的側面からの研究を中心としており、現在、膨大な蓄積量となっている。こうした中で、筆者は、当該期の長州藩を、洋学史的側面から焦点化する有効性を主張してきた。 周知のように、幕末期洋学史研究においては、当該期の洋学の性格規定をめぐって、現在二つの見解がある。一つは、洋学の軍事科学化を重視する見解であり、もう一つは、洋学の地方への展開、即ち在村蘭学を重視する見解である。換言すると、この二つは、当該期の洋学の担い手をめぐる問題に他ならない。まさに、田﨑哲郎氏が分類した「体制内での立身・為政者への接近を指向した為政者指向型」と、「在地の蘭方医として地域的活動を専らとした在村蘭方医型」である。現在、当該期の洋学史研究では、大局的には二つの見解が交わることなく、各々が平行して究明を加えている。 筆者は、これまで、長州藩の洋学を、前者、即ち軍事科学的側面から検討してきた。しかし、同時に、後者、即ち在村蘭学の問題を放置して、幕末期洋学の性格規定をすることは不可能であると考えている。かつて、拙著『幕末期長州藩洋学史の研究』(一九九八年)で分析したように、長州藩における有名蘭学塾の出身者は、在村医及び地主豪農層においてその半数以上を占めている。緒方洪庵の適塾では八六%、伊東玄朴の象先堂においては六〇%にも上った。このように、後者の問題は、少なくとも、長州藩における洋学の実態解明にとって、欠くことのできない検討課題であるといえる。以上のような問題意識の下、後者との接点を探りながら、長州藩におけるモーニッケ苗の導入・実施及び普及について検討したものが...
This paper is an “introduction” to a series of five or six articles that I plan to write from now on...
To shed light on previous research trends and future challenges regarding the effect of body positio...
application/pdf『日本書紀』の崇神紀や景行紀などには,上毛野氏に係わる祖先伝承が掲載されている。この現象は東国出身氏旅としては異例であるが,内容は①始祖は崇神天皇の皇子の豊城入彦命,②東...
application/pdf文化一一年(一八一四)に宇和島藩領の宇和郡八代村(愛媛県八幡浜市)八尺神社の神職の家に生まれた堅庭は、地元の八幡浜本町の医師二宮春祥に医学を学んだ後、嘉永元年(一八四八)...
application/pdf本稿は、日本の近代化の先駆けであり、薩摩藩の近代科学技術の導入とその実践の場であった「集成館事業」の背景としての視点から、薩摩藩の蘭学受容の実際とその変遷について考察した...
application/pdf本稿では、北陸の「技術文化」の諸事例を紹介し、地域社会における蘭学知識との影響関係を確認するため、加賀藩域を中心とした概括的な検証を試みた。 江戸後期、「科学技術」をめぐ...
application/pdf本稿は幕末期に弘前藩において種痘がどのように受容されたかということと、幕末期に行われた医学制度の改革である医学館の創立を、蘭学の受容や種痘の実施と絡めて考察したものである...
本稿では、福岡藩の蘭学者の嚆矢として知られる青木興勝の長崎遊学の実態を、新出史料『阿蘭陀問答』を翻刻・紹介しながら検討し、長崎遊学の経験が興勝の対外認識にいかなる影響を与えたのかについて考察した。興勝...
application/pdfこれまで中世村落の一年は、農事暦が形づくる農民の四季として描かれてきた。しかし、農業に内部化しない外部的複合の生業パターンをもつ海村においては、海辺という立地環境に応じた...
application/pdf豊臣秀吉が朝鮮侵略の拠点とした肥前名護屋は、その特殊な性格と成立事情ゆえに、都市を主題とする議論の対象としては、従前から等閑視されがちな存在であった。しかし実際には、その...
本稿は、早大教授であった故深谷博治氏が所蔵していた史料群の整理作業における中間報告である。第一の課題は、その史料群構造と現在の保存環境に至るまでの来歴を明らかにすることである。第二は、更に一歩進めて記...
application/pdf八世紀後半から九世紀前半にかけて,光仁・桓武王権は東北蝦夷の「反乱」に対し,大規模な軍事行動を起こした。いわゆる三十八年戦争である。王権は軍事的・政治的拠点として胆沢城,...
application/pdf本稿は、文政二・三年(一八一九・二〇)に刊行された医師名鑑『江戸今世医家人名録』を素材として、巨大都市=江戸に達成された「医療」環境の実態を、蘭方医学普及の動向に即しつつ...
若松城下に隣接する幕内村(現会津若松市神指町幕内)の肝煎佐瀬与次右衛門は、貞享元年(一六八四)に自らの体験と「郷談」と呼ばれる旧慣習に基づき会津地方の自然に即した農法を『会津農書』に著述している。上巻...
application/pdf戊辰戦争期に江戸で生活していた多くの市民・民衆は、東征軍による江戸駐留に対して拒否的な反応を示していた。「新政府」は江戸民衆のそうした政治意識を圧殺・再編せざるを得ず、両...
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