application/pdf発掘調査によって出土する古代の印章のほとんどは私印であるが,これまで官司・寺社印に比して専論も皆無に等しく,不明な点が少なくなかった。本稿では奈良・平安時代の現存する文書の印影22例,出土品・伝世品など138例,鋳型片2例,印影のある土器・瓦片5例等から,古代の私印の形態・内容・用途・機能について検討を行った。 形態では,莟鈕有孔で印面の大きさがほぼ1寸5分以内のものが多く,印文は1文字が圧倒的に多い。印文は所有者の名前から取られる場合が多いが,純然たる吉祥句や成語から採ったものもあり,私印押捺の意味は,文書内容の証明と偽造・抹消・改竄の防止であり,印文の内容というより,印が押捺されていること自体に意義があるということになろう。 なお,私印には家印と個人印とがあるが,当然のことながら家印は貴族階級に限られるものであり,正倉院文書にみられるような下級官人などが差出す文書に押捺されるのは個人印しか有り得ないわけだから,家印と個人印の違いは,本質的にそれほど厳密なものものではなく,機能や押捺方法にもほとんど差異はないとみてよい。 いまひとつ私印には呪術性及び祭祀的な役割がある。私印を神仏に奉納することの意味は,宝物・財物の奉納というにとどまらず,自らの土地・財物に関するすべての権限を神仏に委ねることを意味したと考えられる。瓦・粘土板・土器等に私印を押捺したものは,墨書・刻書土器と同様,集落内における祭祀行為に伴うもので,日常什器とは異なる非日常の標識を施すことであり,祭祀に用いる土器を日常什器と区別し,疫神・崇り神・悪霊・鬼等を含んだ意味においての「神仏」に属する器であることを示したもので,神仏に対して祭祀の主体者を明示するものであったと考えられる。M...
application/pdfこれまで民俗学における墓制研究は、「両墓制」を中心にして進展してきた。「両墓制」は「単墓制」に対しての用語であるが、近年、これに加えて「無墓制」ということがいわれている。...
考古学からみた江戸は市中を中心に進んだ発掘調査によって全貌が徐々に明らかにされつつある。特に焼物をつかって江戸市民の暮しの復原や武家と町民の比較研究も盛んである。江戸時代の焼物には広域にわたって流通す...
本稿では、高知県立高知城歴史博物館の地域資料の保存や調査に関する4 つの活動事例を紹介し、そこから見える当館および高知県における地域資料問題の課題を検討した。高知県において、急速に進む過疎高齢化を起因...
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東日本の初期弥生文化を特徴づける墓制は,再葬墓である。再葬は,いったん遺体を土中に埋めたりして骨になるのを待ち,再びそれを埋葬する葬法をさす。この時期,とくに壺棺が蔵骨器として多用されるために,そうし...
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application/pdf古代銅印は,近年発掘調査による出土例が増加している文字資料の一つである。銅印については,これまでさまざまな視点からの集成作業や研究が行われてきたが,考古資料としての位置付...
application/pdf日本古代の印章は,印影や現存印を含めても相当数にのぼり,大きく官印と私印,寺社印の三つに分類できる。そのうち,官印には法令に規定のある公印とそれ以外に分けられ,私印も家印...
本章では,土器の在地・搬入などの性格づけについての,モデルを提示する。製作物としての土器の属性を,「いつ・どこで・だれが・なにを・なにで つくったか」に区分して整理する。「いつ」は,時間の属性であり,...
application/pdf本稿に与えられた課題は内なる異文化としての被差別民について論ずるというものであったが,ここでは大坂のかわた村,渡辺村に関する絵図の読解を通じて近世における被差別民の具体像...
本稿では,従来「漁村」とされてきた海付きの村に注目し,近現代における基本的な生業構造とその変遷,そして生業選択の背景にある人びとの意識について考察することを目的とする。海付きの村という発想は,たんに立...
application/pdf千曲川流域の沖積低地には,弥生時代から近世にわたる数多くの集落跡と水田跡が発見されている。洪水堆積層に覆われた遺跡からは,畦畔や溝で区切られた各時代の水田区画が検出され,...
application/pdf本論文は,近年の日本で極めて広範な対象を文化資源化している「近代化遺産」をめぐる動きを明らかにすることを目的として,とくに軍事施設までもが文化資源化される現象を取り上げた...
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