本章では,土器の在地・搬入などの性格づけについての,モデルを提示する。製作物としての土器の属性を,「いつ・どこで・だれが・なにを・なにで つくったか」に区分して整理する。「いつ」は,時間の属性であり,「どこで」は空間的属性に含まれる。「だれが」は製作者,「なにを」は土器の系統,「なにで」は原料にそれぞれ関連する属性である。今回,問題とする在地土器,搬入土器の性格づけに関わる属性として,「どこで」つくられたか,「だれが」作ったか,「なにを」規範として作ったか,を取りあげ,概念的に区分し,そのあり得る組み合わせをモデルとして構築した。群馬県西部から東信地域においては,在地生産である焼町土器,在地において変形した勝坂系,同じく変形した大木系や阿玉台系土器が,それぞれ時期・遺跡によってその組成比を異にしながら,他系統共存のあり方を呈している。特に通時期的・汎地域的に主体となる土器型式が,主体的存在として卓越することはなく,強いて言えば,当該地域西側では焼町土器,中央部では勝坂系,東側では大木系・阿玉台系の比率が高くなる傾向が指摘できる。これら在地の土器に混じって,南東北地方~栃木県域の大木系土器,南関東や中部高地の勝坂系土器,越後地域の北陸系土器などが,外来系土器として搬入され,同時に在地で模倣生産されている。さらに,各系統の土器の間において,互いの要素を交換した折衷土器が作られている。これらの土器が在地なのか,搬入なのか,また在地または外地で作られたことが胎土分析などで確認されたとしても,自らのアイデンティティの共有する土器として作られていたのか,エキセントリックな欲求から製作されたのか,など多角的な視点から土器の系統を社会的システムのなかで理解しなければならない。さらにその土器が...
application/pdf本論文は,近年の日本で極めて広範な対象を文化資源化している「近代化遺産」をめぐる動きを明らかにすることを目的として,とくに軍事施設までもが文化資源化される現象を取り上げた...
祖霊観念は日本人の間に抱懐されているものであり,民俗学の重要な課題とされてきた。柳田国男は『先祖の話』の中で「三種の精霊」として祖霊,新仏,無縁という異なる精霊の存在を提示し,盆行事に関する研究や正月...
柳田國男は一九三〇年代から、特定の時代・地域の人びとにおける「良い/悪い」や「好き/嫌い」といった感性的な価値判断を「趣味」という言葉でとらえ、心意現象の一部として民俗資料に含めることを提唱していた。...
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東日本の初期弥生文化を特徴づける墓制は,再葬墓である。再葬は,いったん遺体を土中に埋めたりして骨になるのを待ち,再びそれを埋葬する葬法をさす。この時期,とくに壺棺が蔵骨器として多用されるために,そうし...
application/pdf考古学からみた江戸は市中を中心に進んだ発掘調査によって全貌が徐々に明らかにされつつある。特に焼物をつかって江戸市民の暮しの復原や武家と町民の比較研究も盛んである。江戸時代...
application/pdf古代においても,私印は文書に捺されるのが最も普通の用途である。ところがまれに,焼成前の土器に捺した事例が見られる。生産窯や貢納主体の国や郡を表示するために印を土器や瓦に捺...
application/pdf神奈川県小田原市中里遺跡は弥生中期中葉における,西日本的様相を強くもつ関東地方最初期の大型農耕集落である。近畿地方系の土器や,独立棟持柱をもつ大型掘立柱建物などが西日本的...
application/pdf本稿に与えられた課題は内なる異文化としての被差別民について論ずるというものであったが,ここでは大坂のかわた村,渡辺村に関する絵図の読解を通じて近世における被差別民の具体像...
国立歴史民俗博物館では,日本の歴史と文化に関する研究の成果を,ネットワークを介して公開してきた.ここ数年は,一般利用者向けの情報提供と,歴史資料の原情報を提供するシステムを構築している。本稿では,その...
これまで,一般的に縄文時代の家畜はイヌのみであり,ブタなどの家畜はいないと言われてきた。しかし,イノシシ形土製品やイノシシの埋葬,離島でのイノシシ出土例から縄文時代のイノシシ飼育が議論されてきた。イノ...
本稿では,加耶地域が,倭や朝鮮半島の周辺諸地域とどのような交渉関係を結んだかを明らかにするための一つの試みとして,竪穴式石槨と横穴式石室が主たる埋葬施設として用いられた段階の加耶地域の墓制における,外...
本稿は被災地でおこなわれる文化財レスキュー活動を地域開発の視点からとらえ,課題を検討することを目的とする。事例として国立歴史民俗博物館が携わった宮城県気仙沼市小々汐の個人住宅,尾形家住宅における生活用...
幕末から明治期にかけて長く日本に滞在し,多くの日本研究の著書をもつ,英国人外交官アーネスト・サトウは,考古学に関する探究も行っている。その調査のために,サトウは実際に,1880年3月6日から10日まで...
application/pdf本稿は沖縄における鉄器加工のありかたを,王府に服属する職人組織を通して概観しようとするものである。 王府は古くから鍛冶奉行を設置してここで鉄器加工をおこなわせ,また,各間...
application/pdf本論文は,近年の日本で極めて広範な対象を文化資源化している「近代化遺産」をめぐる動きを明らかにすることを目的として,とくに軍事施設までもが文化資源化される現象を取り上げた...
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