application/pdf本稿は,近年の戦後民俗学の認識論批判を受けて,柳田國男が構想していた民俗学の基本であっ た民俗の変遷論への再注目から,柳田の提唱した比較研究法の活用の実践例を提出するものであ る。第一に,戦後の民俗学が民俗の変遷論を無視した点で柳田が構想した民俗学とは別の硬直化し たものとなったという岩本通弥の指摘の要点を再確認するとともに,第二に,岩本と福田アジオと の論争点の一つでもあった両墓制の分布をめぐる問題を明確化した。第三に,岩本が柳田の民俗の 変遷論への論及にとどまり,肝心の比較研究法の実践例を示すまでには至っていなかったのに対し て,本稿ではその柳田の比較研究法の実践例を,盆行事を例として具体的に提示し柳田の視点と方 法の有効性について論じた。その要点は以下のとおりである。(1)日本列島の広がりの上からみる と,先祖・新仏・餓鬼仏の三種類の霊魂の性格とそれらをまつる場所とを屋内外に明確に区別して まつるタイプ(第3 類型)が列島中央部の近畿地方に顕著にみられる,それらを区別しないで屋外 の棚などでまつるタイプ(第2 類型)が中国,四国,それに東海,関東などの中間地帯に多い,また, 区別せずにしかも墓地に行ってそこに棚を設けたり飲食するなどして死者や先祖の霊魂との交流を 行なうことを特徴とするタイプ(第1 類型)が東北,九州などの外縁部にみられる,という傾向性 を指摘できる。(2)第1 類型の習俗は,現代の民俗の分布の上からも古代の文献記録の情報からも, 古代の8 世紀から9 世紀の日本では各地に広くみられたことが推定できる。(3)第3 類型の習俗は, その後の京都を中心とする摂関貴族の觸穢思想の影響など霊魂観念の変遷と展開の結果生まれてき た新た...
柳田國男は一九三〇年代から、特定の時代・地域の人びとにおける「良い/悪い」や「好き/嫌い」といった感性的な価値判断を「趣味」という言葉でとらえ、心意現象の一部として民俗資料に含めることを提唱していた。...
日本列島で古代国家が形成されていく過程において,本州島北部から北海道には,独自の歴史が展開する。古墳時代併行期においては,南東北の古墳に対して,北東北・北海道では続縄文系の墓が造られる。7世紀以降は,...
明治時代から大正初期にかけて,百貨店は,多くの新たな流行を作り出す,「尖端的」な場であった。百貨店は,高い文化的価値を持つ空間だったのである。そうした価値の生成・維持のために,百貨店が活用したことの1...
application/pdf「水田中心史観批判」は,過去四半世紀における日本史学のひとつのトレンドであった。それは,文化人類学,日本民俗学の問題提起に始まり日本文献史学,考古学へと拡がった,水田稲作...
application/pdf祖霊観念は日本人の間に抱懐されているものであり,民俗学の重要な課題とされてきた。柳田国男は『先祖の話』の中で「三種の精霊」として祖霊,新仏,無縁という異なる精霊の存在を提...
application/pdf文化財ということばは,文化財保護法の制定(1950)以前にもあったが,その普及は,法の制定後であった。はじめその内容は,芸術的価値を中心に理解され,狭義の文化史への歴史研...
application/pdf本稿は日本各地の葬送習俗の中に見出される地域差が発信している情報とは何かという問題に取り組んでみたものである。それは長い伝承の過程で起こった変遷の跡を示す歴史情報であると...
application/pdf東日本の弥生文化は西日本からの影響のもとに形成されるという観点が,これまでの研究の主流を占めてきた。しかし,東日本における弥生文化の形成は,西日本からの一方的な影響だけで...
本論文の中心テーマは「新・江戸東京研究は何をめざすか」であり、そのことを明らかにするために、2021年9月7日~10月3日にHOSEIミュージアムで開催された展覧会「〈人・場所・物語〉―“Intang...
本共同研究は,教材研究において学校教師が複数の論文の読解を読み取る現実に即して,2つ以上の複数の論文を取り上げ,その領域における研究=学習の発展を読み取るには,どのように読解すればよいのかを究明するも...
立正佼成会は、昭和13(1938)年に霊友会から独立した庭野日敬、長沼妙佼によって創設された新宗教である。『宗教年鑑』(平成30年度版)によると、会員数は約260万人で、国内に 605か所の教会や布教...
application/pdf史料に記録された地名は今までおもに,歴史的景観を復原するための重要な手がかりとして活用されてきた。そのため,復原の鍵となる歴史地名に関心が集中する一方で,現地比定が困難な...
application/pdf本稿では、従来個別の地域に即して蓄積されてきた神職組織研究を相互比較することによって、近世の神職組織の存在形態とその特質を解明した。対象は、これまでの研究が触頭―触下とい...
application/pdf日本民謡には,一般に西物と東物の違いがあるといわれているが,私は以前に山口県と秋田県の民謡を例として,『日本民謡大観』所載の民謡を分析し,音階や旋律法などいろいろな点でこ...
application/pdf考古学と民俗学は歴史研究の方法として登場してきた。そのため,歴史研究の中心に位置してきたいわゆる文献史学との関係で絶えず自己の存在を考えてきた。したがって,歴史学,考古学...
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日本列島で古代国家が形成されていく過程において,本州島北部から北海道には,独自の歴史が展開する。古墳時代併行期においては,南東北の古墳に対して,北東北・北海道では続縄文系の墓が造られる。7世紀以降は,...
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