application/pdf文化財ということばは,文化財保護法の制定(1950)以前にもあったが,その普及は,法の制定後であった。はじめその内容は,芸術的価値を中心に理解され,狭義の文化史への歴史研究者の関心の低さも一因となって,歴史研究者の文化財への関心は,一般的には弱かった。だが,考古・民俗資料を中心に,芸術的価値を離れて,過去の人生の痕跡を保存すべき財とみなす感覚が成長し,一方では,経済成長の過程での開発の進行によって失われるものの大きさに対して,その保存を求める運動も伸びてきた。また,文化を,学問・芸術等の狭義の領域のものとだけみるのではなく,生業や衣食住等をふくめた概念として理解する機運も高まった。このなかで,文献以外の史料への重視の姿勢を強めた歴史学の分野でも,民衆の日常生活の歴史への関心とあいまって,文化財保存運動に大きな努力を傾けるうごきが出ている。文化財保護法での文化財定義も,芸術的価値からだけでなく,こうした広義の文化遺産の方向に動いていっている。 文化財の概念と,歴史・考古・民俗等の諸学での研究のための素材,すなわち史料の概念とは次第に接近し,そのことが諸学の共同の場を考える上でも役割を演ずるかにみえる。だが,文化財を,継承さるべき文化の産物とだけみなすなら,反省の学としての歴史学とは両立できない。過去の人生は,現代に,よいものだけを残したわけではない。たとえば戦争の痕跡のように,私たちが継承すべきではないが,忘れるべきでないものは少なくない。すぐれた芸術品と理解される作品のなかにも,ある時代の屈辱の歴史が秘められていたり,新しい芸術創造の試みを抑圧する役割を担った例があること等を思いあわせて,継承さるべきでない文化の所産もまた文化財であるというみかた...
application/pdf沖縄の祭祀とシャーマニズムをめぐる問題については、拙稿「ノロとユタ」(『講座日本の民俗学七』雄山閣、一九九七)でも論じたが、本稿は前稿での議論を踏まえ、その後の知見も加味...
application/pdf1985年,国連で正式に示された「ジェンダー主流化」の理念を受け,台湾では関連政策の制定も進んだ。そのなかでも,2012年に制定された「ジェンダー平等教育法」は,台湾の公...
application/pdf鋳鉄鋳物は,こわれると地金として再利用されるため,資料数は少ないが,古代・中世の鍋釜について消費遺跡出土品・生産遺跡出土鋳型・社寺所蔵伝世品の資料を集成した。これらは,羽...
application/pdf本稿では、従来個別の地域に即して蓄積されてきた神職組織研究を相互比較することによって、近世の神職組織の存在形態とその特質を解明した。対象は、これまでの研究が触頭―触下とい...
中世城館の調査はようやく近年,文献史学,歴史地理学,考古学など,さまざまな方法からおこなわれるようになった。こうした中でも,城館遺跡の概要をすばやく,簡易に把握する方法として縄張り調査は広く進められて...
application/pdf「水田中心史観批判」は,過去四半世紀における日本史学のひとつのトレンドであった。それは,文化人類学,日本民俗学の問題提起に始まり日本文献史学,考古学へと拡がった,水田稲作...
伝承という概念は日本民俗学の中核にあって,学問の成立の根拠になってきた。本論文は,広島県の比婆荒神神楽を事例として伝承の在り方を考察し,「伝承を持続させるものとは何か」について検討する。この神楽は,荒...
東日本の初期弥生文化を特徴づける墓制は,再葬墓である。再葬は,いったん遺体を土中に埋めたりして骨になるのを待ち,再びそれを埋葬する葬法をさす。この時期,とくに壺棺が蔵骨器として多用されるために,そうし...
柳田國男は一九三〇年代から、特定の時代・地域の人びとにおける「良い/悪い」や「好き/嫌い」といった感性的な価値判断を「趣味」という言葉でとらえ、心意現象の一部として民俗資料に含めることを提唱していた。...
application/pdf学界においては、常にイレギュラーな結果の報告が求められ、研究者はイレギュラーな結果が期待できる対象を選んで科学分析を行う傾向にあるが、科学分析を通してイレギュラーという「...
唐代伝奇『枕中記』が源泉となる有名な「邯鄲の夢」の故事は、『太平記』(流布本)巻二十五「自伊勢進宝剣事付黄梁夢事」、謡曲『邯鄲』での改変を経て、近世では重要な趣向としてよく生かされ、数多くの戯作に影響...
明治時代から大正初期にかけて,百貨店は,多くの新たな流行を作り出す,「尖端的」な場であった。百貨店は,高い文化的価値を持つ空間だったのである。そうした価値の生成・維持のために,百貨店が活用したことの1...
application/pdf国立歴史民俗博物館が所蔵する二つの初期洛中洛外図屏風「歴博甲本」と「歴博乙本」について、描かれた人物すべて(甲本=一四二六人、乙本=一一七二人)をデータベース化する作業を...
application/pdf考古学の基礎作業である分類をおこなう際の基準の1つに「かたち」がある。かたちは土器の輪郭や石器の平面形などで認識できるが,たとえば私達は壺のかたち,剣のかたちといえば一般...
水鳥を捕る狩猟は,その棲息地が身近な平地農村部であったために,かえって狩猟研究の分野では卑近なものとして見過ごされ,とりたてて文化史のなかに位置付けられることもなかった。また,広く生業研究の分野をなが...
application/pdf沖縄の祭祀とシャーマニズムをめぐる問題については、拙稿「ノロとユタ」(『講座日本の民俗学七』雄山閣、一九九七)でも論じたが、本稿は前稿での議論を踏まえ、その後の知見も加味...
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application/pdf鋳鉄鋳物は,こわれると地金として再利用されるため,資料数は少ないが,古代・中世の鍋釜について消費遺跡出土品・生産遺跡出土鋳型・社寺所蔵伝世品の資料を集成した。これらは,羽...
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