Drive Analysis and the Treatment of Abused Children, Focusing on Responses to the Szondi Test (II)

社会崩壊の危機を背景にして，家庭の機能がうまく作用しないために虐待が増加している。その被虐待児童がどのような心的状況下で虐待を耐えているのか，虐待のどのような心の歪みを生じているのかを明らかにして，その治療的対応を考えようとするのがこの研究の目的である。被虐待児童にあまり心的負担をかけない投影法心理検査としてソンディ・テストを用いた。一般群や非行群とも比較検討した結果，被虐待児童は(1)幼児期からの心情の安定が不良である(2)不安や動揺が生じやすいが，それが抑圧され内在化しやすい(3)(3)したがって自我像は自己抑制的，順応的傾向が目立っている(4)情愛対象への依存と離反の葛藤状態が目立つ，などの衝動像が出現した。いずれも被虐待児童の定まりくにい不安定な心情が明らかになった。こうした結果が出現する具体的な事例の分析を通じて，ソンディ・テスト学的な側面からの治療的対応を明らかにしようとした。こうしたテスト学的側面から事例の治療的方策を明らかにした手法は，価値の高いものと思われる。（上）ではこうしたことを中心に論じた。（下）では（上）で明らかになった点を更に具体的にするため事例を取り上げた。取り上げた３つの事例のうち，事例Aのソンディ・テストの特徴はS衝動像に衝動過圧が出現して過緊張傾向を示している反面，C衝動像はC００像という精神的退行状況を示している点に治療的対応のポイントがある。また事例Bでは，全般的にエネルギー低下を示す中，前景像のP衝動像のみが顕示的傾向を示し，周囲に目立とうとしている点に治療的対応のポイントがある。事例Cではｍ±反応に象徴されるように，絶えず安定的な行動選択ができないまま苛立ちを表出している点に対応のポイントがある。ソンディ・テスト被虐待児童治療的対