ヴェーバーの「宗教社会学論集」のなかの「世界宗教の経済倫理」の諸論文はこれまで「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を前提にして読まれてきた。その結果、プロテスタンティズム論文のテーゼの状況証拠の論文集と見なされてきた。しかし両者をよく読むと、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の方には政治領域への言及の欠如があることがわかる。初版の注からその欠如を埋めるのがイエリネックの「人権宣言論」であると推測される。「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」」と「人権宣言論」の両者をセットにして読むとはじめて、プロテスタンティズムの政治経済双方への影響が見えてくる。と同時に、「宗教社会学論集」が東洋的家産制批判であるばかりか、ドイツ帝国の批判であり、真の市民社会創造の可能性を探った論文であることが了解されるのである。The conventional approach has been to read the essays of "The Economic Ethic of the World Religions" from the standpoint of a prior reading of "The Protestant Ethic and the Spirit of Capitalism". As a result, these articles have been considered as circumstantial evidence for "the Protestant Ethic thesis". However, if we try to read the "Protestant Ethic" from the standpoint of t...