本稿は,医学部生のための「医学英語用語集」構築に関わる過程を詳述するものである。この研究は,長年にわたる「医学を目的とした英語(教育)= English for Medical Purposes, EMP」プロジェクトの一部であり,医学部2・3年生を対象とした教材開発を目指している。現在開発中の「医学英語用語集」は,教材作りとコーパスを用いた分析の相互作用を経て作成した「語彙リスト」を発展させるものになる予定である。教材の章分けは「人体の構造と機能」に基づいており,医学専門家からの助言とコーパス言語学の知見を生かしたものとなっている。 ここではまず,教材に登場する重要術語の抽出過程を報告し,その後これらの用語の語彙的特徴を探求する。とりわけ,語の「形態」や,語区分や接辞がどのように組み合わされて複雑な医学用語が作られているかに焦点を当てたい。その後,その用語集をどのように編めば医学英語生にとって学びやすいか,また,筆者らの語彙分析の成果が,決して容易ではない「医学英語教育」に従事する教師の教材開発をどのように支援できるかを示したい。This article provides an account of the process involved in creating a glossary of medical terms for undergraduate medical students. The present work forms part of a long-term EMP (English for Medical Purposes) project to develop pedagogic materials for students in their secon...