個別経営の分析による地主制の研究はすでに多く出されているが、本稿ではとくに農業経営の分析ばかりでなく、現実の地主経済にとつて多かれ少かれ比重をもつていた農業経営以外の面についても分析し、これら各方面がどのような関係にあつたかを考察し、地主経済全体の動きを統一的に把握しようとこころみた。ここにとりあげた真銅家の場合では同家の経済を講成していた農業経営、牛売買、貸付はそれぞれ変化するが、全体として寛政-文化期を転換期として、牛売買の不振は農業経営の縮少、貸付の沈滞におよび、さらに綿作の不振も加つて農業経営の重点は小作地におかれ、貸付も村内の小口貸付が中心になる。この聞、地主制は次第にすつきりしたものになつて行くのである。Though these have been many monographs on the landlord system by analyzing each management, this article tries to analyze not only the agricultural management but also some aspects beside the agricultural management which had more or less some importance in actual landlord managements, to study correlation of these aspects, and to grasp as a whole the movement of the landlord management. In the case of the Shindo 真銅 family here in thi...
ここで十世紀王朝国家土地制度というのは、延喜荘園整理令を含む十世紀初頭の土地制度の改編で出発し、大体十一世紀中ごろまで続いたもので、それは私領と対立する意味の公田を国司に維持させることを中心にして構成...
高麗時代、官人・軍人には大小の領地(収租地) が分給されていたが、これらは官人戸・軍人戸の経営する自家の所耕田の上に設定される部分と、他の一般民戸の経営する所耕田の上に設定される部分との複合によって成...
個人情報保護のため削除部分あり訂正あり(61巻4号p.641)土地利用を具体的に記載した史料を整理し、現地比定を試みると、平安期の大和盆地の条里地割内部には、荒地などの耕地でない部分や事実上の畠が意外...
近世以来日本西南部は長床犁使用の牛耕地帯としてよく知られているが、中国山系の牛生産地帯と畿内需要地帯との流通については必ずしも十分究明されていない。本稿は、牡牛取引によつて特徴づけられる河内古市郡駒ヶ...
中世社会の再生産構造の究明は、商品経済の問題をぬきにしては考えられない。したがって本稿は、興福寺による一国支配という特殊な支配形態をもつ大和国において、商品経済の発展が、社会構造に、どのような変化を与...
石高制を基礎とし、米殻を主要な商品とする近世封建社会において、量制の問題が重要な位置を占めたことはいうまでもない。すでに宝月圭吾氏が、この問題についてのすぐれた研究を発表されているのであるが、本稿はた...
わが国において資本主義が確立した時期は一般に明治後期 (一八九〇~一九一〇) であると考えられている。それではその前段階たる幕末・明治前期において資本主義の形成はどのように進行していたであろうか。また...
近世の甲州には大小切と呼ばれる税法が施行され、貢租代金納化の比率は他国よりも高かつた。なかでも徳川将軍家の藩屏である田安家の領地の場合は貢租は殆んど一〇〇%代金納化されている点で極めて特異な存在である...
個人情報保護のため削除部分あり廃都後の平城京域は貞観六年の「都城道路変為田畝」という記事により、大部分が早期に水田化したとされ、興福寺膝下に成立した中世都市奈良のみが存続したと概説される。しかしながら...
個人情報保護のため削除部分あり村落を農村・山村・漁村に分類する視点は近代の所産であるが、これに似た村落類型観が近世にも存在していた。それは「里方」・「山方」・「貴方(浜方) 」・「野方」その他の村落類...
延暦年間、大土地所の進展でゆらぐ律令体制のたてなおしが試みられるが、その際支配者側は、民要地という形で耕地部分を国家の手に把握し、それ以外の山林・原野を農民の形成する共同体の規制力を利用して、大土地所...
個人情報保護のため削除部分あり漢代の常設市は官庁や宮殿、官倉など国家の財政支出の行われる場所や、官僚など都市住民の消費支出の集中する場所、また街道の交差点や橋といった交通の要所に発達した。これらの市は...
個人情報保護のため削除部分ありこれまでの奈良時代の流通経済に関する研究は、その構造的特質の確定という基礎的作業を怠っていたため、その本質の把握が十分ではなかった。本稿は従来の研究の基礎を定める意味でこ...
寛永期 (一六二四-四四) の畿内幕領における農民支配は、二つの面からおこなわれた。その一は、夫役の徴収であつて、家と労働力を有する農民の殆ど全部が、幕府のもとに役家として編成された。その二は、貢租収...
この論文は日本古代の土地所有権の性格を究明するために、その一の方法として古代の土地売買の実態を明らかにしようとするものである。本号に於ては先ず問題の所在・視角を明らかにしょうと試みた。即ち当時の売買の...
ここで十世紀王朝国家土地制度というのは、延喜荘園整理令を含む十世紀初頭の土地制度の改編で出発し、大体十一世紀中ごろまで続いたもので、それは私領と対立する意味の公田を国司に維持させることを中心にして構成...
高麗時代、官人・軍人には大小の領地(収租地) が分給されていたが、これらは官人戸・軍人戸の経営する自家の所耕田の上に設定される部分と、他の一般民戸の経営する所耕田の上に設定される部分との複合によって成...
個人情報保護のため削除部分あり訂正あり(61巻4号p.641)土地利用を具体的に記載した史料を整理し、現地比定を試みると、平安期の大和盆地の条里地割内部には、荒地などの耕地でない部分や事実上の畠が意外...
近世以来日本西南部は長床犁使用の牛耕地帯としてよく知られているが、中国山系の牛生産地帯と畿内需要地帯との流通については必ずしも十分究明されていない。本稿は、牡牛取引によつて特徴づけられる河内古市郡駒ヶ...
中世社会の再生産構造の究明は、商品経済の問題をぬきにしては考えられない。したがって本稿は、興福寺による一国支配という特殊な支配形態をもつ大和国において、商品経済の発展が、社会構造に、どのような変化を与...
石高制を基礎とし、米殻を主要な商品とする近世封建社会において、量制の問題が重要な位置を占めたことはいうまでもない。すでに宝月圭吾氏が、この問題についてのすぐれた研究を発表されているのであるが、本稿はた...
わが国において資本主義が確立した時期は一般に明治後期 (一八九〇~一九一〇) であると考えられている。それではその前段階たる幕末・明治前期において資本主義の形成はどのように進行していたであろうか。また...
近世の甲州には大小切と呼ばれる税法が施行され、貢租代金納化の比率は他国よりも高かつた。なかでも徳川将軍家の藩屏である田安家の領地の場合は貢租は殆んど一〇〇%代金納化されている点で極めて特異な存在である...
個人情報保護のため削除部分あり廃都後の平城京域は貞観六年の「都城道路変為田畝」という記事により、大部分が早期に水田化したとされ、興福寺膝下に成立した中世都市奈良のみが存続したと概説される。しかしながら...
個人情報保護のため削除部分あり村落を農村・山村・漁村に分類する視点は近代の所産であるが、これに似た村落類型観が近世にも存在していた。それは「里方」・「山方」・「貴方(浜方) 」・「野方」その他の村落類...
延暦年間、大土地所の進展でゆらぐ律令体制のたてなおしが試みられるが、その際支配者側は、民要地という形で耕地部分を国家の手に把握し、それ以外の山林・原野を農民の形成する共同体の規制力を利用して、大土地所...
個人情報保護のため削除部分あり漢代の常設市は官庁や宮殿、官倉など国家の財政支出の行われる場所や、官僚など都市住民の消費支出の集中する場所、また街道の交差点や橋といった交通の要所に発達した。これらの市は...
個人情報保護のため削除部分ありこれまでの奈良時代の流通経済に関する研究は、その構造的特質の確定という基礎的作業を怠っていたため、その本質の把握が十分ではなかった。本稿は従来の研究の基礎を定める意味でこ...
寛永期 (一六二四-四四) の畿内幕領における農民支配は、二つの面からおこなわれた。その一は、夫役の徴収であつて、家と労働力を有する農民の殆ど全部が、幕府のもとに役家として編成された。その二は、貢租収...
この論文は日本古代の土地所有権の性格を究明するために、その一の方法として古代の土地売買の実態を明らかにしようとするものである。本号に於ては先ず問題の所在・視角を明らかにしょうと試みた。即ち当時の売買の...
ここで十世紀王朝国家土地制度というのは、延喜荘園整理令を含む十世紀初頭の土地制度の改編で出発し、大体十一世紀中ごろまで続いたもので、それは私領と対立する意味の公田を国司に維持させることを中心にして構成...
高麗時代、官人・軍人には大小の領地(収租地) が分給されていたが、これらは官人戸・軍人戸の経営する自家の所耕田の上に設定される部分と、他の一般民戸の経営する所耕田の上に設定される部分との複合によって成...
個人情報保護のため削除部分あり訂正あり(61巻4号p.641)土地利用を具体的に記載した史料を整理し、現地比定を試みると、平安期の大和盆地の条里地割内部には、荒地などの耕地でない部分や事実上の畠が意外...