救急医療の現場において,今回われわれは気管支喘息重積発作の患者の身体的看護と,家族の精神的援助を行った。患者は30歳,男性,既婚,現在まで4回の気管支喘息重積発作のため入院し,その症状は薬物療法により改善された。今回の重積発作では,薬物療法が無効であったため,患者は救命救急センターに転院し,膜型人工肺による体外式肺補助循環を行った。その結果,薬物療法や人工呼吸器が有効にはたらき,発作は軽快した。救急センター転院時,医療者は患者の救命に全力をあげていたので,その家族に対する精神的援助は充分でなかった。ことに体外式肺補助循環装置使用後,家族は精神的ショックを受けていた。すなわち,妻および両親はパニック状態に陥り,兄姉は回避,怒りといった反応を示した。このように同じ家族成員間でも精神的反応に違いが見られた。これに対し看護婦は第1期(衝撃期)には家族を受容的態度でそっと静かに見守り,第2期(防御的退行期)には抑圧している感情を表出させるようにできるだけ家族に話しかけ,第3期(承認期)には,積極的に家族に対し,患者の身だしなみやリハビリの指導を行った。その後,患者の身体状況が改善されるにつれて,家族の精神的反応も改善され,患者の現状を理解できるようになり,最後は医療者に対して協力的な態度を示すようになった。このように,救急医療においては,患者の治療だけではなく患者の家族に対しても個別的な精神的援助の必要性が示された。This paper reports our experiences with a patient suffering from status asthmaticus treated with physical measures and the mental support...