本稿では漁業史からの環境史研究へのアプローチを試み、近世琵琶湖における蜆漁と採藻業という二つの漁業史料の新たな読み解きによって、山地までを含む琵琶湖南部の集水域における近世の人間活動と生態系の変化を解明した。田上山地の荒廃とそれに対する土砂留政策が、一八世紀半ばに草肥に代わるものとして湖産の貝灰肥料の導入を促し、それまで里山に頼っていた村々を「里湖」の循環的システム内へ編入させる契機となった。また一九世紀には菜種の栽培技術の革新が湖岸の半湿田での裏作を可能にし、さらに京での菜種油の価格上昇がその栽培肥料としての藻取りを加速させたことが明らかとなった。水草肥料を自給できた当地は金肥高騰に悩む他産地を抑え、全国有数の菜種産地に成長しえたのである。藻取りは水域からの栄養塩の除去にもつながっており、このような「二次的自然」としての「里湖」の生態系には、近世後期に確立の画期があることがわかった。In this article, I attempt to approach environmental history form the perspective of the history of fisheries, and through a new interpretation of source materials on two varieties of fishery activities (harvesting shijimi clams (corbicula) and waterweeds) on Lake Biwa during the early modern period, I hope to illuminate changes in the ecosystem and ...
我が国では、戦前から戦後にかけてオオムギ栽培が盛んに行われたが六条オオムギが主であった。しかし、昭和30年代になると醸造用あるいは飼料用として二条オオムギの栽培が盛んになり、最近では従来の六条オオムギ...
本稿は、『日本書紀』欽明二年(五四一) 三月条の帝王本紀にまつわる分注を主たる切り口として、『日本書紀』の編修に係わる実態の一斑、および『日本書紀』の編纂開始の時期について解明することを試みたものであ...
2004年から2013年にかけて浜端悦治博士によって収集されたモンゴル国産水生植物標本の概要 を紹介する.浜端博士はモンゴル国の75の調査地で調査を行い,1,696点の標本を採集した.モンゴル...
本稿では鴨社御厨であった近江国堅田について、その中世前期における漁撈活動の実態を琵琶湖の自然環境の視点から解明することを試みた。具体的には、水深一〇〇mにも及ぶ琵琶湖の湖底地形および魚類の生態行動と、...
日本近世の海と幕藩領主層との関係を考える素材として鯨・捕鯨をとりあげる。大規模捕鯨業地域では、領主にとっての捕鯨業の経済的、軍事的意義が解明されているが、全国的にみると鯨をめぐる漁村や幕藩領主の動向に...
中国山西省西南部の河津三峪地区においては、呂梁山脈中に湧き出る泉水と、山々の雨水を集めて流出する濁水という異なる水源を併用する清濁灌漑方式が用いられた。そこには、清水の稀少さと降雨の時期的偏りに由来す...
本稿では水辺の近習資源とその用益権=「コモンズ」形成の歴史的過程を解明することを目的とし、近江国野洲郡兵主郷安治村と蒲生郡津田荘を事例に、中世前期以降のエリの共同用益とその展開について検討した。「コモ...
従来、日本の近代における水利について論じる場合、その多くは農村における灌漑用水が主であり、都市において論じられることは稀であった。本稿で考察する琵琶湖疏水事業は、一八九一年に開始された京都市営の水利事...
本論文では、「海を舞台とした人間活動と深い関連をもつ脈絡により、海の近くに築造された古墳」である「海の古墳」を研究することの意義と限界、そして展望を示す。まず、研究の意義として、首長墳の立地論や、海浜...
自治体史の序文には、住民を共同体の成員へと組み入れる意図がしばしば見受けられる。過去の共有により成立する「記憶の共同体」がここから立ち上げられているとすれば、自治体史は住民の共同性を支えるメディアなの...
木製農具は初期農耕社会の経済基盤を支えた道具であり、農耕の拡散や発展を論じるうえで不可欠な要素として重視されてきた。さらに農具には製作途中の未成品も多く伴うため、生産体制論においても存在感を示している...
中世における日本列島の生業のあり方を考えるためには、陸域と水域とが不定期に可逆的に推移する水辺エコトーンという環境を視野に入れる必要がある。これまでの漁業史研究ではさして注目されていないが、流動する河...
本稿の目的は、大戦間期イギリス帝国における自然災害の要因と対策をめぐる議論の分析から、植民地科学者/官僚の間でグローバルな環境危機論が形成されるプロセスを検証するとともに、その特質を明らかにすることで...
経済専門雑誌『東洋経済新報』に拠って日本の対外拡張主義や保護貿易主義を批判した石橋湛山(1884-1973)は、1910年代から1930年代にかけて経済的自由主義と国際協調主義に基づき、日本の針路につ...
Sicydium japonicum Tanaka is a fresh water goby, distributed in the South-Easten Japan, the Riu-Kiu ...
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本稿は、『日本書紀』欽明二年(五四一) 三月条の帝王本紀にまつわる分注を主たる切り口として、『日本書紀』の編修に係わる実態の一斑、および『日本書紀』の編纂開始の時期について解明することを試みたものであ...
2004年から2013年にかけて浜端悦治博士によって収集されたモンゴル国産水生植物標本の概要 を紹介する.浜端博士はモンゴル国の75の調査地で調査を行い,1,696点の標本を採集した.モンゴル...
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本稿は、『日本書紀』欽明二年(五四一) 三月条の帝王本紀にまつわる分注を主たる切り口として、『日本書紀』の編修に係わる実態の一斑、および『日本書紀』の編纂開始の時期について解明することを試みたものであ...
2004年から2013年にかけて浜端悦治博士によって収集されたモンゴル国産水生植物標本の概要 を紹介する.浜端博士はモンゴル国の75の調査地で調査を行い,1,696点の標本を採集した.モンゴル...