テレビにおける「街の声」の意味構成 : 中国の街頭インタビューを中心に

本稿は、現代中国のテレビ放送において、街頭インタビューを用いた特集番組の意味内容はどのように組み立てられるか、そしてテレビのメディア特性によってどのような性格が形成されるかを、『あなたは幸せですか』を代表とした一連の中国中央テレビの特集番組を中心に検討する。2012 年中秋国慶節に9 日連日ニュース番組の一コーナーとして放送された『あなたは幸せですか』を皮切りに、中国中央テレビは『愛国とは何ですか』、『家風とは何ですか』といった企画を実施し、特集番組として連日にわたり放送し、そのたびに国民的な議論が巻き起こった。この種の「記録」や「人間そのものへの関心」あるいは「民主化の進展の一環」といった性格の強い作品は、シネマ・ヴェリテという記録映画から始まった手法を模倣しながらも、テレビというメディアの持っている性格を引き継ぎ、中国独自の社会環境で生まれたものである。中国中央テレビの街頭インタビュー特集番組を取り上げ、街頭インタビューという手法とテレビの特性との間にある関係性を浮き彫りにすることで、テレビにおける「街の声」の意味構成を考察することが本稿の目的である