Rudimental Study on The Privatization of HUCD -The Characteristic Tendency of Consideration of Residents-

本小論文は、住宅・都市整備公団によって進められているストック改善対策としての既存住宅の建て替え事業に対して、公団住宅居住や周辺住民はどのような受け止めをしているのか、また、行財政改革の一環として政府が取り組んでいる住都公団の廃止・民営化策について、どのような評価をしているのか等を意識調査の結果から考査したものである。公団の建て替え事業についての意識の特性や問題点については、本学の紀要論文に紹介しているが、その際の意識調査において当時社会的に関心の高まっていた住都公団の廃止・民営化の課題についても、居住者の意向をごく基本的項目に限って調査を実施している。紀要論文ではその部分の考察は扱っていないので、この小論では補論的作業として廃止・民営化について初歩的な考察を試みたものである。考察結果からは、市民の意識としては現状の住都公団の抱える問題点の改善を求めることを判断基準に廃止・民営化の評価がなされていることが推察される。ところが、実態としての廃止・民営化政策が、住都公団からの公共住宅供給機能の切り捨て縮小という点に最大の課題があることを考えると、こうした民意を利用した制度改革のパラドックス的推進が、今後の住宅政策に大きな問題点をもたらすことが危惧されることを明らかにできた