Occupational Options for Young People in Japan and China

この小論は，日本と中国における青年の職業選択とその選択に影響を及ぼす要因について述べたものである。発展期の社会や産業社会は，従来の産業構造や就業構造を変え，個人の社会移動を引き起こす。その結果，諸個人の職業選択にも大きな可能性が生まれると考えられる。果たして，この職業選択の可能性はすべての人に広く開放されているであろうか。実際には，日本においては熟練，半熟練，非熟練に，中国の都市においては生産運輸労働者に，中国の農村においては純農民に父子聞の職業の同職率が相対的に高い。この職業の世襲の要因は二つに分けられる。一つは構造的なもので階層，学歴，性別，所得，居住地域などである。他の一つは非構造的なもので個人の教育アスピレーション，職業アスピレーション，個人の職業評価，個人の職業意識などである。ここでは，職業選択を規定するこれらの要因のなかで，階層を支配的要因として扱う。というのも，階層以外の要因は，基本的に階層によって規定される被説明変数と考えられるからである。わたしはこの小論で，社会体制の違いを超えて日中いずれにおいても「下流階層の周流(沈殿)Jが上流のそれよりも多いことを述べた。職業選択青年階層社会移