Autistic Syndrome in Children with AD/HD

国際診断基準では，注意欠陥/多動性障害（AD/HD）と広汎性発達障害（PDD）の重複診断を認めていない。佐藤ら（2007）は，すでに高機能広汎性発達障害（HFPDD）の63.0%にAD/HDを併存し，これを判別し得る行動特性を有していることを報告した。今回はPDD併存例を除く，AD/HD単独診断群における自閉症状を検討し，(1)AD/HD単独診断例において，CBCL外向尺度得点が境界・臨床域を超える例を71.4％に認めた。(2)AD/HDの多動・衝動性得点に，CBCLの注意の問題が有意に関連し判別した。(3)CBCLの注意の問題尺度には，同不安/抑うつ尺度およびAD/HDの不注意得点が有意に関連し，注意の問題を有意に判別した。(4)CBCLの非行的行動尺度には，攻撃的行動尺度が有意に判別した。(5)CBCLの攻撃的行動尺度には，非行的行動尺度および注意の問題尺度が関連し，AD/HDの不注意得点は逆方向に判別した。本検討はAD/HD単独診断群においても，攻撃的行動，社会性の問題など自閉症状を高率に認め，AD/HD治療に重要な示唆を与えた。AD/HDCBCL自閉症状重複診