保育者の熟達化と子ども理解の関連性に関する研究（2）

本研究は、保育者の子どもの理解の構造を明らかにすると同時に、保育者の熟達化に伴う子ども理解の構造の変化や様相を明らかにすることを目的とした。無記名式質問紙調査を実施し、因子分析を行った結果、保育者の子ども理解は、「限界性」「相互性」「敏感性」の3因子が抽出された。また、経験年数に基づく群間比較をした結果、①保育経験6年目以降になると限界性は徐々に和らぎ、11年目以降では難しさを感じる機会が乏しくなること、②保育経験11年目以降には、相互性と敏感性が高まりを帯びてくること、が見出された。保育者がキャリアを積み重ねていくことで、敏感かつ相互的に子どもを理解しようとする志向性や、わからなさへの戸惑いが減少することすることが示唆された