本研究は,成人看護学実習において学生が持っている患者との距離のとり方に関する意識を明らかにすることによって,実習指導の手がかりを得ることを目的としている。研究方法は,3年次成人看護学実習Aの終了時に自記式質問紙法を用いた調査とその考察である。その結果,実習において学生は,患者とのコミュニケーションにおける物理的な距離に関しては,「病室」で「20分前後の時間」「90度法」を用いて患者と「50cm離れて」コミュニケーションを図っていることがわかった。心理的な距離に関しては,患者を「優しかった」と受け止め,「気遣ってくれた」「協力的」」など心理的に接近することができていた。コミュニケーションのとり方に関しては「挨拶・自己紹介」「患者と視線を合わす」「言葉かけ・うなずき」が全員「できた」と答えた。実習期間中に学生が教員・臨床指導者(以下指導者と略す)に求めることは,「困っているときの声かけや助言」「疾患や症状の判断に困ったときの助言」などであった。学生の感想の中に「4週間の実習のなかで徐々に距離を縮めることができた」「自分も一人になりたいときがあるように患者さんも一人になりたいときがあると思うので,距離を置くことがわかった」という気づきがあった。学生が経験を振り返ることを通して気づいたことを大切にし,学生自らが学びを深めることができる実習指導が必要であることが示唆された。The present study aims to examine students\u27 awareness of the distance between a patient and a caregiver during adult nursing training, and improve guidance ...