首都大学東京修士(建築学)本論文では、建築ストックのホテルへの転用に注目し、広く国内外の事例を収集し分析考察を加えることを通し、今後の日本での計画に示唆を与え、地域の核となる場が一つでも多く生まれることに貢献することを目的とする。ホテルを取り巻く背景や目的についてまとめた2 つの章に始まり、分析・考察を行った3 つの章、総括としての結章からなる。序章では、研究の背景と目的を示す。背景として、研究室での海外コンバージョン建築調査研究の概要として調査国・調査年・主要参考文献についてまとめる。また、日本の現状を人口減少やそれに起因する経済低迷にふれることで、日本の観光産業を観光収入や観光客数などの観点から、それぞれ把握し、現代日本におけるホテルの必要性についてまとめる。次いで、アメリカでの先進事例に触れホテルコンバージョンが地域活性化の一手法として有効であることを示す。第二章では、ホテルコンバージョンの概論として、まず「ホテルの定義」を建築基準法・消防法・旅館業法の3つの関連法規を参照し確認、そのうちの一つである旅館業法の構造設備基準に習い本研究におけるホテルを定義する。次いで、「ホテルの分類」として、客室数・立地・面積構成から「シティ・リゾート・コミュニティ・ビジネス・小規模」へと分類する「日本の分類」と価格帯・星数から「ラグジュアリー(5 星)・アップスケール(4 星)・ミッドプライス(3 星)・エコノミー(2 星)・バジェット(1 星)」へと分類する「海外の分類」についてまとめる。最後に、江戸時代から現代に至るまでの「日本のホテル史」を、明治維新や第2次世界大戦、東京オリンピックなどの社会背景と関連付けながら、「宿の時代・グランドホテルの時代・コマーシャルホテルの時代・新しい...