現在、世界中の高等教育において、「信仰間の対話」プログラムが数多く採用されるようになっているが、それはまさに、信仰間での葛藤や緊張関係が、グローバルな規模で広がっていることが、その大きな要因となっている。本論文は、アメリカ合衆国のある大学でおこなわれた「信仰間の対話」のための先進的プログラムについての研究成果にもとづくものである。徹底した参与観察法による研究によって、次の点が明らかになった。すなわち、「信仰間の対話」には多くの克服すべき課題があり、ある場合には、学生たちを、他の信仰を持つ学友たちに対して、「信仰間の対話」プログラムを受講する以前よりもさらに、不信感を抱いたり腹を立てたりする可能性があることである。どうすれば、このような陥穽を回避しつつ信仰間の平和を築くための「信仰間の対話」を促進しうるのか―この研究からえられた知見は、実践という点でも教育方法という点でも、いくつもの勧告を示しうると思われる。Interfaith dialogue programs are becoming more widely used in higher education around the world, due in large part to increased interfaith conflict and tension globally. This paper shares findings from research on an interfaith dialogue initiative at an American university. Based on in-depth observational research, findings show that inter...