児童労働による貧困の再生産は止められるのか―国家、国際機関、企業、NGOの協働可能性―

途上国を中心に児童労働が行われるのは、貧困家計を支える担い手としての供給者側の要因と、一次産品や工業製品をできるだけ安価に生産しようとする需要側の要因がある。ここに大きく負のかかわり方をしてきたのが多国籍企業である。児童労働は、子どもの人権という視点からはもちろん、大人の雇用機会を奪うなど貧困を再生産していくという問題も孕んでいる。 本稿では、実態としての児童労働を国際労働機関（ILO）の資料を中心に紹介するとともに、NGOによる反児童労働の規範形成の具体的行動の事例や、企業の社会的責任（CSR）への取り組みを考察する。国内法では十分対応できない国家とともに、国際機関、NGO、市民、企業が協働して児童労働問題の解決が模索されている