国際比較調査の結果などから,わが国の子どもたちの科学やその学習に対する関心の程度が国際的に低いことが問題となつています。関心の低さが,社会全体の科学リテラシーの低下を招くとともに,科学技術立国を支える人材の枯渇につながるのではないかと懸念されるからです。科学への関心を高めるために,今日,文部科学省の「科学技術・理科大好きプラン」による全国的な取組みをはじめとして,学校や地域での取組み,企業や協会による取組みなど,多様な取組みが行われています。こうした中,これまで,全国的な規模で子どもたちの学習意欲の実態を高い精度で測定した調査データは,平成13年度以降実施されている「教育課程実施状況調査」(国立教育政策研究所〉のみでしたが,科学に特化した質問項目は少なく,各種の取組みの効果も分析できませんでした。そこで,平成16年度文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(2)「未来社会に求められる科学的資質・能力に関する科学教育課程編成原理」(課題番号15020272)の補助を受けて,『科学への学習意欲に関する実態調査』を実施いたしました。調査では,科学に対する学習意欲を,子どもたちがこれからの社会で生きるために必要な科学的資質・能力の一つであると捉え,小学校5年から高等学校3年までの8年間に科学への学習意欲に関わる多様な側面がどのように形成されていくかの全国的な実態を調査いたしました。また,学習意欲の向上に,どのような取組みが効果的かを分析いたしました。さらに,一部の調査内容を,平成12年度に実施した全国的な実態調査と同一にすることによつて,学習指導要領の改訂の前後での科学への学習意欲の変化についても統計的に検討いたしました。本報告書は,その結果を報告するものです