本年度の課題で特に重点を置いて取り組んだのは、日本人のIBディプロマ取得者の動向である。これまで、どのくらいの数の日本人がどの国でIBディプロマを取得して、それらの生徒はどのような大学へどのような方法で進学しているかといった情報がなかったので、そのことを明らかにしたいと考えた。IBプログラムの経験者が在籍していそうな国内の大学のアドミッション・オフィスを訪問したり、海外でIBの言語科目で日本語を選択している生徒が多い学校などを訪問したりして、卒業生の進学先の情報を入手することにした。 大学ではどのような受け入れ体制をとっているのか。このことを調査するためにIB北米地域事務所(ニューヨーク)、カリフォルニア州とカナダのバンクーバー市等の学校を訪問した。北米地域では、公立学校がIBプログラムを導入しているところが圧倒的に多い。どのような理由で、どのような方法で運営しているのか。また、IBディプロマ取得者はどのような大学へ進学しているのかを調査した。 もう一つの国際バカロレア・プログラムの評価基準については、我が国の教育動向との関連から調査することにしたものである。我が国では4月から小・中学校で新教育課程が実施されるが、それに伴い教科の評価方法も、これまでの相対評価から絶対評価へと変わる。初めて取り組む総合学習の評価方法についての情報も必要とされることが予想される。国際バカロレアのプログラムはこの点でも重要な情報源になるものと思われる。IBの中等課程プログラムには関連領域(Area of lnteraction)という総合学習のような教科があり、各教科でも、しっかりした評価基準が設けられているからである。また、IBディプロマのCAS(Creativity,Action,Servic...