Selection, Exits and Efficiency in the Japanese Banking Industry : An Historical Perspective

この論文では、戦前・戦後にわたる長期的なパースペクティブから銀行業の産業組織の変化を展望するとともに、その銀行経営の効率性に対するインプリケーションを検討する。第一に、銀行業の市場構造の戦前・戦後比較を通じて、戦後期には、集中度が上昇しただけでなく、市場構造の安定性が著しく高くなったことを確認する。第二に、いくつかの指標から戦後、銀行経営の効率性が低下し、1910年代末までその改善が見られなかったことを示す。第三に銀行経営の効率性を高めるメカニズムとして、合併・廃業を通じた銀行の淘汰に焦点を当て、その機能を戦前と戦後の間で比較する。この比較を通じて、戦前は廃業が非効率な銀行を淘汰する仕組みとして有効に機能していたのに対して、戦後は銀行の廃業がなく、合併も戦前の廃業に代わる役割を果たしてこなかったことを示す。斎藤誠編. 日本の金融再生戦略. 中央経済社, 2002.本文フィルはリンク先を参照のこ