大学でフランス語学習を開始する学生は,同族言語である英語の運用能力 について一定レベルに達していることが前提にあるため,フランス語の構造 解説において,教員はその前提知識を活用することにより効率的に学習を進 めようとすることがある.動詞時称形の形態とその用法に関する分野をその 例に挙げることができる.フランス語の複合過去形の形態は,助動詞に関し て英語とは異なる点があるが,英語の現在完了形と同様の構造,すなわち「所 有」を意味する動詞と過去分詞の組み合わせで成り立ち,その用法にも共通 点は多い.しかしながら,フランス語の動詞時称形の全体像へと学習が進む につれ,学習者は英語には存在しない形態を知り,形態の構造の基本は同じ でも,その対応関係は複雑であることに気づく.特に初級段階の学習者は様々 な形態の記憶への早期定着が期待されるため,同様の形態の共通点や差異に ついて実例に基づく説明を受けることが少ない.そこで,フランス語の複合 過去形のそれぞれの用法が,英語の現在完了形のどの用法と最も共通してい るのか,あるいは,他のどのような動詞時称形に対応していることが多いの か,という実例の調査結果が学習の場において有益であろうことは容易に推 測できる.このような指針の基に,本稿は標準的なフランス語の複合過去形 が使用されている語りのテキストとその英語翻訳を対象として,両言語の対 照研究的調査によりフランス語の複合過去形の教授法の応用に貢献できるような手がかりを導き出すことを目的とするものである
日本の大学では、第2外国語としてフランス語を学ぶ場合、コミュニケーションの授業の履修期間が1年のみであることも多い。つまり、トータルの学習時間はたったの45時間ほどである。すなわち、45時間あまりの授...
アルジェリア人を父に、フランス人を母にアルジェリアで育ち、フランス語を自らの言語としたレイラ・セバール(1941〜 )は、二重性や引き裂かれた状態を共通とするフランス語マグレブ文学の括りのなかでも特殊...
Sourisseau (2003) によると、外国人との接触に慣れていない日本人の学生の中には、語学の授業でネイティブ教師に対して不安を感じる者もいるという。 そこで、本研究では、ネイティブ教師が学習...
フランス語は、日本の学習者に難しいと思われている言語であり、このように感じられている事実に直面し、教師はしばしば、彼らが望む到達レヴェルを低く設定しようとする。われわれは逆に、このような選択が学習者の...
この論文は,ボードゲームというメディアの,教育的文脈における依然として知られておらず過小評価されている意義を強調することをその目的とする。この場合の教育とは外国語教育であってもそうでなくとも構わない。...
⦅言葉の癖⦆は、何よりも表現上の欠点とみなされていることから、「外国語としてのフランス語」の学習者には決して教えられることはない。しかし、語用論的な観点に立てば、こうした⦅口癖⦆の背後に隠された表現の...
阪上(2009),(2010),(2011)では,日本語の認知的多義動詞「思う」を含 む発話とそのフランス語翻訳とを比較検討することにより,日本語およびフラ ンス語の動詞に現れる認知的意味を分析する試...
日本においてフランス文学史を教えることの意義は何か。日本語のフラン ス文学史の参考書は、大正の頃からほとんど一貫してフランスで出版された 文学史を踏襲している。しかし、既に広く指摘されているように、フ...
本稿の目的は,甲南大学で筆者が担当する外国語科目(フランス語)と言語文化科目(講義科目)の授業において実践しているアクティブ・ラーニングの方法とその狙いを説明し、学習効果と今後の課題について明らかにす...
フランス語動詞の複合形の形態に共通する「助動詞+過去分詞」は動詞活用の単純形と対をなし「完了アスペクトvs 未完了アスペクト」を表すことは国語としてのフランス語教育では周知事項である。しかし動詞時制形...
フランス語会話で自然にやり取りできるようになるためには、フランス語の運用能力を獲得するだけでは不十分である。本稿では「リアクション・マーカー」の簡単なリストを提案することで、オーラル・コミュニケーショ...
フランス語と英語は,共に印欧語族に属し,語彙的にも文法的にも共通点 を多く持つ言語同士である.動詞の時称形に関しても,活用語尾で形態が決 定されるものと助動詞と過去分詞との複合的な形態を持つものを保有...
本稿は,阪上(2009)「認知動詞に関する日仏対照研究1」の続編である.日本語動詞の中でも,思考や認識を意味する多義的動詞の代表とも言える「思う」がフランス語にはどのような動詞によって翻訳され得るか,...
複合過去形の本来の意味は完了アスペクトによって表される現在完了だが、フランス語教育では過去用法に偏重して学習されることが多い。このため学習者は複合過去形の意味を「過去」「終了」の概念と同化し、完了アス...
当研究ノートは、現在まで著者が使用した外国語教授法と教材・結果を分析し、外国語教授についてより効果的な方法についての考え方の基礎となる部分を明らかにする試みである。この作業の中で最近の一般的な言語習得...
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