北海道の天然林内において,フェラーバンチャおよびグラップルスキッダによる材積伐採率54%の択伐作業および全木集材作業が林地,残存木,天然更新,植生などに与える影響について,伐採時とその後4年間にわたり調査を行った。その結果,1)残存木本数の54%になんらかの損傷が生じ,地表面積の56%が攪乱された。2)小径木は致命的損傷となる確率が高く,中・大径木では部分的損傷に留まることが多い。3)伐採木からの距離が近いほど損傷を受ける確率が高い。4)伐採4年後に健全な状態にある樹木は伐採前の蓄積の14%にすぎず,30%は枯死したか衰弱した状態にある。5)伐出に伴う地表攪乱は,ダケカンバの更新には効果が期待されるが,針葉樹の後継木確保のためには不十分である。以上のことから,大形車両系林業機械による択伐作業と全木集材では残存した森林に対する影響が大きく,針葉樹は成長を増進できずに衰弱して,広葉樹が優占する疎林となる。地表は攪乱されるものの,回復の早いクマイザサに覆われるため,針葉樹の天然更新は期待できない。持続的森林経営のためには後継樹の植え込みが必要である。大形機械による伐出作業を促進するためには損傷木の発生を少なくするため,伐採木周辺の残存木に配慮して,フェラーバンチャの伐採木までの移動方法や伐倒方法,グラップルスキッダの走行ルートを改善する必要がある。A continuous research program into the influence of selection cutting and whole tree logging using a feller buncher and a grapple skidder on forest land, residual trees, ...