特集1: ヒマラヤ研究ユニット = Special Issue 1: Contribution from the Kyoto University Unit for Himalayan Studies本誌公刊にあたっては、京都大学学士山岳会、京都大学「霊長類学・ワイルドライフサイエンス」・リーディング大学院からの助成をうけました。中国雲南省の梅里雪山とその周辺地域を訪問した。登山口となった西当村から、到着地である氷河湖下のベースキャンプまで、片道約16キロの道程の大半を現地のウマに乗って移動した。同行したメンバー全員が複数のウマに分乗するにあたって、ウマの割り当てをくじびきで決める方法が採用された。これは、ウマの割り当てに人間の意思が入ることでトラブルになることを避けるための、現地流のリスク・マネージメントの方策と解釈できる。茶馬古道に示されるように、ウマとヒトは雲南省および梅里雪山周辺では歴史的に深い関わりがあり、ウマが現地の文化の重要な部分をなしている。今回の訪問における長時間の乗馬体験によって、温厚なウマを選択してきたウマの家畜化に関するヒトとウマの関係の歴史が明瞭に理解できた。こうした家畜化は、社会的知性の進化ともかかわりが深い現象と考えることができる。 I visited Yunnan, China for the first time in my life. The area I visited was Meili Xueshan. The travel was mostly done by riding horses, with the help of local people. A unique feature of our visitors’ riding ...