publisher[要旨] 1997年にヒツジで初めて哺乳類の体細胞クローン作出が報告されて以来、マウスやウシ、ブタなど数多くの種で体細胞クローン産仔作出の成功が報告されているが、その産仔作出効率は未だ著しく低い。また、作出された体細胞クローンの殆どが胎盤の異常や過大仔症候群、呼吸不全などの異常を伴っている。マウス体細胞クローンにおいて、着床の前後に体細胞クローン胚の多くが致死を示すことが報告されており、また、着床後の発生においても胎盤の形成不全や胎仔の神経管・心臓・消化管・血管などに形態的異常が多く観察されている。ウサギ体細胞クローンにおいては胎仔期の発生を観察した知見は無く、体細胞クローンの体内においての発生は不明である。 本実験ではウサギ体細胞クローン胚の胚移植後の体内における着床後の発生を評価するため、胚移植後14日目のクローン胎仔および胎盤を形態的に観察した。その結果、胚移植後14 日目において着床率は7%、胎仔形成率は3% と、非常に低率であることが分かった。また、体細胞クローン胎仔の形態的観察においては、通常の発生と違わない発生段階のものも得られたが、発生が遅延や停止しているものも得られた。胎盤においては体細胞クローンのものは重量が有意に低く、形成不全のものが観察された。 [Abstract] Since the successful cloning of sheep using somatic cell nuclear transfer(SCNT)was first reported in 1997, clone animals have been produced in many mammalian species. However, the cl...