平成8~10年度科学研究費補助金(国際学術研究)研究成果報告書研究概要:ハナヤサイサンゴの接触反応が発生段階により変化することを示した。同じ組み合わせでも、成群体では速やかに非瘉合に至るのに、幼群体では非瘉合へ至る進行速度が遅かった。非適合を示すペアの境界部では、多数の空胞、凝縮した核が見られ、アポトーシスによる細胞死が起こっていることが示唆された。サンゴの同種異種認識機構について調べるため、異なる種のサンゴの細片を接触させ、隔膜糸による胃腔外消化反応の有無を調べた。異なる科のサンゴに対しても、隔膜糸攻撃を示す場合と示さない場合とが見られ、胃腔外消化反応の有無により種の識別を行う方法は、適用できる種が限られることが分かった。イシサンゴ5種の卵黄タンパク質の生化学的・免疫学的特性を比較した結果、同じ科に属するイシサンゴの卵黄タンパク質は非常によく似ていることが判明した。しかし属が異なると卵黄タンパク質のアミノ酸組成が異なることが示唆された。雌雄同体のイボコモンサンゴにおいて、群体サイズが精子と卵の生産比に及ぼす影響を調査した結果、サンゴ群体のサイズが増加するにつれ、成長率が直線的に減少すること、遺伝的個体間で成長率に有意な差があることが明らかとなった。またサンゴの大きさによる卵と精子の生産比率の差が検出され、サンゴが群体サイズを認識できることが示唆された。ハワイ産のハマサンゴ属2種のサンゴで見られる異常成長部(がん?)の形態、生殖巣、染色体数を調べた。異常成長部では、ポリプの骨格である莢が拡大し、しばしば隔壁が倍数化し、ポリプあたりの生殖巣は減少していた。しかし染色体数に違いは見られなかった。要約(英文):We showed that contact reaction betw...