Mental Health Welfare as a Concept of Conviviality : A model of complementary conviviality for the most combined system of mental health and social services

埼玉県越谷市精神保健福祉法の成立によって政策用語として公認された「精神保健福祉」は、保健、医療、福祉領域のみならず広く社会に浸透したが、筆者は精神保健福祉という用語のわが国における受容の過程を検証し、精神保健福祉の概念を6類型に捉えるとともにその課題を批判的に論じた(堀口，2003)。本論では、精神保健福祉への生成を概括的に取り上げたうえで、精神保健福祉の諸類型を関係学の理論的成果との関連から再検討し、新たに8つの概念構成に類型化した。また精神保健福祉概念の基盤にある「福祉」と「精神保健」という2つの主体(専門職、機関、学問体系等)間の結合関係の差違から生じる8類型をモデルによって例示し、精神保健と福祉の区別が充分に検討されないまま誕生したこの概念に対する多用な理解・錯綜した解釈の実相を分析的に明らかにした。そのうえで精神保健と福祉との協力関係の理念および両者の結合関係の課題を精神保健福祉の主体との関連から考察し、共生概念としての精神保健福祉の新たなモデル（相互補完的共生モデル）を提起することによって、保健、医療、福祉の各領域がもつ「専門性」および各専門領域を包摂する「総合性」という2つの次元を包含したより高次なレベルの「精神保健福祉」概念全体がもつ可能性を展望した