Effects of Aging and Chronic Illness on Sexuality of Older Adults.

本研究は､高齢者の性の充実を促す看護モデル考案のための基礎的研究として､老いと慢性病を抱えるこ とから生じる高齢者の複雑な性への影響を調査し､セクシュアリティの概念枠組みを基盤に据え､質的分析 により多角的に分析することを目的とするものである｡ 研究対象は､慢性病の特徴的な3つのタイプ(脳血管障害､虚血性心疾患､慢性腎不全)のいずれかを有 する､65歳以上の高齢者で､配偶者があり､外来通院をしている53名であった｡データ収集は､研究参加へ の承諾の得られた高齢者に対し､半構成的面接によって行い､得られたデータは内容分析を行った｡ その結果､慢性病をもつ高齢者のセクシュアリティへの影響として､次のようなカテゴリーが兄いだされ た｡性行動に関しては､【性欲･性反応の減退】【性行為の困難性】が､性役割では､【男らしさ･女らしさ の喪失感】【責任や権限の委譲】が､夫婦の関係では､【夫婦の親密性の深まり】【夫婦の力関係のゆらぎ】 が､他者とのつながりとしては､【関係性の広がりの変化】【親密性の変化】が､それぞれ兄いだされた｡ 看護者は､高齢者の性行動の変化について適切に理解し､そのことを現実的に受け止め､人生の移行のた めに夫婦の親密性と他者とのつながりを維持･拡大できるよう､高齢者の潜在的な性的能力を促すような専 門的な援助を由発していく必要がある