ベトナムの豚肉フードシステム(10)　飼料産業の動向

ベトナムの豚肉フードシステム。本シリーズでもすでに述べたように、ベトナムでは豚を含めた家畜の飼養頭数は近年急速に増加しており、畜産物需要の増大は飼養規模の拡大や集中化を促してきた。そして、品質面でもより赤肉率の高い外来種あるいは交雑種の導入が進んでいる。在来種を小規模で飼養する際に一般的であった残飯や米ぬかなどの副産物に多くを頼る給餌方式は、外来種や交雑種の飼養には規模の点からのみならず、その特性を活かすためにも適さない。濃厚飼料や配合飼料が給餌されなければ1日当たり増体量は低迷し、生産効率が高まらないのである。飼養頭数の増加のみならず品種の変化の影響も受けて、ベトナムにおいても濃厚飼料や配合飼料の利用率は高まる傾向にある。本稿では、畜産部門の拡大に伴う飼料産業の動向を、現地調査の結果を踏まえて報告する