Basic Study on Human Relations in The High-rise Housing

近年の高層住宅は、立地環境や設備水準あるいはセキュリティーの面で、高級感をキャッチフレーズにした物件が増えている。また、分譲価格も億ションに代表されるような高額物件が一般化してきている。今やこうした高層住宅が都市住宅の典型であり、豊かな住生活を保証する場のような印象を呈している。しかし、今回の調査研究では、現実の高層集合住宅の中にはごく一般的水準の高層住宅も多く存在することを指摘し、また、こうした一般的な高層住宅では入居者が特殊なエリート層ではなく、普通の住宅需要層が対象となっていることを明らかにした。特に人間関係の基礎となる「近所づきあい」の実態としての活発度が、その居住地への満足度評判や地元への愛着に直接的な影響を与える要因として作用していることも指摘できた。また、人々の居住地での人間関係が、従来の地縁的・義務的繋がりから、選択的・趣味的繋がりに移行している中で、特に若い世代の居住者をどのようにして地域活動に呼び戻すのかが、高層階居住の今後のあり方を考える上で、重要な課題となっていることも指摘した