我国の縦割り行政から生ずる障害を克服すること,さらに,行政の複雑化・情報化,また,行政の計画化等に対応することの必要性から,今日,行政機関相互間の協力の重要性が,指摘されている。実定法をみると,既に,そこには,行政の様々の協力に関する多くの規定が存在している。しかし,実定法が要請する行政機関相互の協力の具体的内容を,実定法の文言のみから導き出すことの困難な場合が多い。他方,行政機関相互の協力には,権限分配原則や法治主義といった行政法の基本原則に抵触する可能性が指摘されうる。このような状況から,行政機関相互の協力に関する法的問題点を明らかにし,検討することが求められている。行政機関相互の協力の根拠の一つとして,行政の一体性があげられている。行政の一体性観念は,かつては,国家権力の一体性を,近時は,行政の対外的責任の帰属の明確性,行政の透明性,行政の経済性・効率性を確保する上で,又,国民の権利利益を保護する上で有用な概念であるとする指摘がある。だが,その概念の内容の不明確性が指摘され,行政の多元化,専門化という視点からも,行政の一体性に対する疑義が出されている。今日では,行政の一体性観念から,行政組織法上の原則や行政機関相互の協力をめぐる規範的要請を導き出すことはできず,行政機関の設置目的や付与された権限を具体的に検討することによって,行政機関相互の協力の適法性の判断が,個別的に行われることになるであろう。Der Ressortegoismus wird kritisiert und Effektivitat und Wirtschaftlichkeit des Verwaltungshandelns gefordert.Dafur nimmt die Bedeutung der...