障害児教育は「治療」と「教育」という2つのアプローチを基本に成立している。そこで、本論文では、この2つのアプローチの比較検討を通して、障害児教育の在り方について論考してみた。「治療」と「教育」は、対象に何かを行なうという点では共通しているが、その目的、対象、方法などの点では根本的に相違している。前者は、「障害≧児」観に立脚し、障害児の「障害」という部分を客観的に物化して捉えようと試みるが、後者は、「障害<児」観に立脚し、障害児の「児」という、部分には還元し難い全体を主観的に限りなく人間化して捉えようと試みる。こうした両者の特徴の比較検討に一つのヒントとなる概念として、cureとcareという概念がある。障害児教育におけるcareの意味を検討してみると、障害児教育の本質が、手をかけることよりも目をかけること、すなわち、まなざしを向けることにあるのではないか、との一つの結論に到達する。Special education has two basic approaches: remedial and educational. This paper aimed at considering the ideal way of special education by comparing the characteristics of these two approaches. The remedial approach and the educational approach have something in common in terms of working upon the handicapped children, but they fundamentally differ co...