てんかん児の運動に関する研究(II) : 視察及びパワスペクトル分析による水泳負荷脳波の検討

てんかん児の脳波は、徐波の出現が多く、不規則でalpha waveの周波数も一定せず、一般に未成熟であり、健常児と比較して過呼吸・水泳負荷による影響を受けやすい傾向がある。しかし、水泳負荷以前の安静事態脳波を基準としてみると棘波の出現は水泳事態では著明な減少を示し、水泳負荷後にはalpha waveの出現は増量するが、逆にtheta waveは減少を示し、脳の覚醒水準の上昇が窺われ、臨床発作の生起しにくい脳波パタンとなっているものと思われる。少なくとも、一部のてんかん児にとって水泳は、発作の完全抑制、脳波所見の改善を目標とする医学的治療の方向から大きく逸脱するものではなく、教育的見地からの適切な対応が望まれる