論説 / Article1919年作の『小市民の結婚式』(茶番劇)は上演して成功すると思えるような作品ではありません。同じ年に書かれた『夜打つ太鼓』が1922年にクライスト賞を受賞し、何度も上演されましたが、それと比べると目立たない作品です。しかし、21歳の大学生ブレヒトが、小市民の無思想にして無内容な生き方に疑問を感じて、その俗物性と精神的堕落を暴露したことに、驚きを感じます。そればかりか、単なる暴露劇ではなくて、小市民の俗物性を笑いの対象にしたところに、この作品の良さがあります。ブレヒトは資産家の息子ですから、自ら笑いながら小市民層と決別した、と言えるかも知れません。彼が大学時代を過ごした当時のドイツの社会情勢を概観するなかで、この作品を考えてみたいと思います
カントにおいて完成に到った主客概念における主体とは本来、認識(論)的であるが、19世紀末から、認識論的な世界観の相対化と並行して、生物論的な意味方向への変質拡大を起こし、現代の「生ける主体」の包摂にま...
論説 / Articleグリム童話では、恋愛結婚の話の数は他の結婚の話を圧倒し断然第1位である。『日本の昔ばなし』にはそれと比べうる恋愛結婚の話は一つしかない。グリム童話では、恋する女性の多くは自立し...
私たちは、テキストを理解しようとする時、ある程度その内容を予測しながら読んだり、 聞いたりしていると考えられる。それは文内に留まる場合もあるし、文を超えて次の文を予測す る場合もある。文理解の予測に関...
論説 / Articleブレヒトは、ワイマール共和国崩壊の一因は知識人(学者)にある、と見ていた。かれは、インテリを中心としてワイマール共和国時代を整理する意味合いを込めて、『トゥーランドット姫 また...
『クルツゲシヒテ』に関して,これまで,第Ⅰ報1)ではジャンルの成立過程を辿り,そして第Ⅱ報2)では主として,このジャンルに於ける1950年代までの研究報を整理した訳であるが,これらの成果は,拙他編の『...
ヘッセの『ガラス玉遊戯』の舞台は二十四世紀のヨーロッパのカスターリエン州である。ここはガラス玉遊戯を教えることを通して、人間の最も晴れやかな精神性を育てる目的を持っている。その州の中にある教団の人々は...
ブレヒトの『コリオレーナス』はシェイクスピアの同名の戯曲を歴史の弁証法的発展という観点から改作したもので,シェイクスピアはコリオレーナスの悲劇に重点を置いて,悲劇へと一直線に筋を運んでいるのに対して,...
本論文は,16世紀ルネサンス以来抬頭し始めた絶対主義が,一方では中世的普遍秩序および教会による規範の独占に対抗し,他方ではゲルマン的封建国家観に対抗して,近代国家の統一を形成して行く闘争の過程をつくり...
シュタイナーとフランクルは中心的な活動分野こそ異なるものの、その思想には多くの類似点が見出される。本稿では死と不死をめぐる諸問題に注目して、両者の思想を比較考察する。人間は経験を積むことで成長・進歩す...
一 問題提起 1 最高裁平成6年1月20日判決(金法)1383号37頁 2 被仕向銀行の過誤についての仕向銀行の責任 3 法的性質と当事者の権利・義務 二 ドイツにおける振込法以前の法状態 1 民法典...
マーロウからすると約300年前の,ブレヒトからすると約600年前の出来事,エドワード2世が即位してから獄死するまでの出来事を,これらの作家は舞台化した。ブレヒトの『イングランドのエドワード2世の生涯』...
『クルツゲシヒテ』に関して,第Ⅰ報1)ではジャンルの成立過程を,第Ⅱ報2)では1950年代までの研究報を,そして,第Ⅲ報3)に於ては,主として1960年代の研究報をとり扱った。今回の第Ⅳ報では,第Ⅲ報...
この論文は、ドイツ啓蒙主義固有の性格について主にフランス啓蒙主義との対比において考察したものである。18世紀の初め、ドイツ啓蒙主義の展開はベルリンにおいて最も進んでいた。この発展に寄与したのが、フリー...
本稿は,筆者のフランクフルト学派の学問業績に関する考察の第三篇をなすものである。既に発表した,第一,第二篇においては,M.ホルクハイマーの「批判的理論」を中心として,M.ホルクハイマーの「道具的理性」...
論説 / Article今の日本で劇場に足を運ぶ人々は、「笑いと元気と斬新さ」を求めています。新劇界がもっと喜劇を採り上げ、喜劇役者がいないならば、思いきって吉本新喜劇の役者を客演に招いて芝居づくりを...
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一 問題提起 1 最高裁平成6年1月20日判決(金法)1383号37頁 2 被仕向銀行の過誤についての仕向銀行の責任 3 法的性質と当事者の権利・義務 二 ドイツにおける振込法以前の法状態 1 民法典...
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