論説 / Article額田王の最初期の作として知られる『萬葉集』に収められた「宇治の都の借廬」詠(巻1・七番歌)の背景について考察し、ついで、この作の表現意図に迫ろうとするものである。従来、『古事記』『日本書紀』に記された歴史観に基づいて、ウヂノワキ郎子とオホサザキノ尊との皇位を譲り合う美談が展開され(空位三載)、ウヂノワキ郎子の逝去で以ってオホサザキノ尊の即位が実現し、ここに聖帝仁徳が成立するとされてきた。しかしながら、『山背国風土記』(逸文)等に見られる記述を分析すると、史実は別として、少なくとも説話としての宇治天皇の存在が明らかとなってくる。即ち、宇治の地にウヂノワキ郎子は宮室「桐原日桁宮」を持ち、そこが都と称されていた。こうした宇治大王説話を背景として、額田王の「宇治の都の借廬」詠は作られていると考えられる。このように見て初めて、額田王の歌詠における「宇治の都」という表現の意図するところが明らかとなってくる。これまで、「宇治の都」とは、単なる行旅における宇治での行宮の称であると理解されてきたが、ここに「宇治の都」とは文字通り宇治大王の皇居の存した故地の称となってくる。と共に、「宇治の都の借廬」と表現されたその表現意図も明確となる。即ち、雅としての「都」の表現と、その対極に位置する「草葺きの借廬」という表現の落差が奏でる響きをも含ませた歌であることが浮き彫りとなってくるのである
今回の文部科学省学習指導要領改訂は、核となる「新たな学びの3観点:何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか」「新たな学力観(3つの柱):個別の知識・技能、思考・判断・表現力、人間性や学びに...
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本稿は,円地文子の「老女もの」の初期作品にあたる「蛇の声」を少女表象から検討を試みるものである。これまで研究史において「蛇の声」を含む一連の円地の「老女もの」は,老女のセクシュアリティに注目した読解が...
藤原定家撰『物語二百番歌合』は、物語歌による最初の歌合だが、当時、物語歌は現実の和歌と同等ではなかった。つまり、評価の定まらなかった物語歌を、同時期に盛行していた歌合の形式で表出したのが、この作品だっ...
本稿の課題は、中内敏夫の教育理論が「能力主義」をどう捉えそれとどう向き合おうとしてきたのかを検討することである。中内は、能力主義は、教育領域にそれが浸透すると、教育による人間の発達の可能性の追求を断ち...
研究論文(Article)接尾辞「的」に関する先行研究は多く見られるが、同じ語基をもつ場合、連体修飾としてはたらく際の「-的φ」と「-的な」について、それぞれの使用範囲に何らかの制限があるのか、意味的...
本研究以《大乘廣百論釋論》第七卷〈破根境品〉為研究核心,目的在於深入了解護法 (Dharmapāla) 如何看待五種感官識,以及其知識論立場。〈破根境品〉主要以數論宗、勝論宗等外道為論諍對象,兼破佛教...
論説 / Article近世の伊勢神宮門前町、宇治・山田に居住する非人集団である拝田・牛谷について、参宮客、住民組織の三方会合・宇治会合、山田奉行などとの組織的な関係や経済的基盤、果たした役割、そして...
本稿の目的は,近代日本の性教育論の分析を通して,大正期の母親による性教育モデルの形成過程を描き出すことにある.なぜなら,性別アイデンティティの確立に寄与したと思われる近代日本の性教育の推進に母親が積極...
本稿は、助辞「ニシテ」の助動詞的用法について、いわゆる副詞語尾として用いられる「ニシテ」の現代語の中での用法とその広がりを、書き言葉コーパスの用例から見ようとしたものである。結果、「副詞+ニシテ」の用...
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出生後間もない子どもにも、絵本を与えようとする、保護者たちが増えてきている。1960年代のブルーナによる「うさこちゃん(現在はミッフィ)シリーズ」が日本に紹介されてからであり、その後、日本の作家によ...
シャーキャブッディの所取能取の形象を虚偽、二取を離れた青などの形象を真とする無二知としての自己認識論をジュニャーナガルバ、シャーンタラクシタ、カマラシーラ、ハリバドラらの後期中観派は論難している。この...
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