本稿では,薩摩国一宮制研究の一環として,蒙古襲来を契機に薩摩国一宮となるハ幡新田宮及び同宿と深い関係を有す五大院の宮領・院領における支配機構とその形成過程を分析した。その結果八幡新田宮領・五大院領が一定度形成された時点で,宮領・院領を支配する目的で八幡新田宮政所・五大院政所が各々置かれて,両政所は宮領・院領に対して勧農権・検注権・徴税権等の支配権を有していた事が判明した。鎌倉初期惟宗氏は,八幡新田宮執印・五大院院主職に補任された。新たに八幡新田宮・五大院と関係を持った惟宗氏は,八幡新田宮公文所を新設し,八幡新田宮・五大院の掌握を意図した。惟宗氏は執印の地位を背景に八幡新田宮政所を支配下に置いた。また公文所を拠所として,それまで五大院政所載として五大院領を実質的に支配していた八幡新田官権執印の権限を侵害していった。その結果鎌倉末期には,執印惟宗氏の五大院領に対する支配権は大幅に拡大した
『八幡宇佐宮御託宣集』は、宇佐弥勒寺の神によって正和二年(一三一三)に成立した中世宇佐宮の神典である。その中に「今より我が山には修験人は有るべからず」という八幡神の興味深い言葉が載せられている。これは...
『伊勢物語』の主人公とされる在原業平は各地に様々な伝説を残している。『伊勢物語』を基に、謡曲や古註釈の解釈、地名の由来などを含み、その土地に根差している。東北から九州まで広い範囲を舞台にした『伊勢物語...
『日本霊異記』にある「道場法師説話」の鬼退治と『ベーオウルフ』のグレンデル退治とは、類似する部分が多い。「道場法師説話」の鬼退治譚がもつモチーフは、小異を除きすべて『ベーオウルフ』にもある。島津久基著...
本稿では, 江戸時代の編纂物である『神代三陵志』可愛山陵項に収められた『新田神社文書』の具体的内容と全体としての史料的性格について分析した。その結果『神代三陵志』可愛山陵項に収められた『新田神社文書』...
本稿では,蒙古襲来以後薩摩国一宮になる八幡新田宮の祭神について分析した。まず江戸期の主な編纂物の記載を調べ,江戸期の新田八幡宮(八幡新田宮)の祭神は,壇填杵尊・天照大神・拷幡千々姫(又は天忍穂耳尊)と...
中世祇園社片羽屋神子については脇田晴子氏により一定明らかにされている。すなわち宮籠、片羽屋(座・衆)とも称され祇園社に下級の役人として神楽や夫役に奉じた男女混合の組織であった。しかしながら、なぜ宮籠組...
本稿は,大隅国の国一宮である大隅国正八幡宮において,平安中期~鎌倉前期に至る間に社家機構や支配組織がどのように形成されてきたかという課題について考察したものである。その結果,一一世紀前期九州において国...
貞慶の宗教活動に関わる研究は多く、彼が笠置寺に遁世し、そこを再興したことはよく知られる事績である。しかし従来その「意義」ということについては、踏み込んだ議論がなされていないように思われる。よって本稿で...
本稿では,禰寝院成立の経緯と禰寝院南俣が大隅国一宮である大隅国正八幡宮の社領化した理 由について考察した。その結果禰寝院は一一世紀中頃大隅国内の郡郷制改編の中で形成された事, 禰寝院南部を姻戚関係で...
領主権力が在地に経済基盤を求め、成り立っていることは自明のことである。したがって、在地の状況を知ることは、そのまま領主権力の一端を知る素材となる。しかし、在地に関する史料は概して乏しく、そのことは但馬...
近江国甲賀郡森尻村に所在する矢川大明神は、中世段階の当該地域に存在した池原杣庄の荘鎮守であったと推測される神社であり、神宮寺である矢川寺は神仏習合形態で祭祀を執行していた。戦国末期における荘園制の解体...
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