The Difference between the Duties of Trustees and Durable Power of Attorneys

application/pdf世界的規模での高齢社会化の拡大と共に、高齢者に対する虐待が大きな問題となっている。高齢者に対する経済的虐待の問題は、日本においても以前から問題視され、本人の自己決定権尊重と財産保護を如何にして実現させるかにつき、様々な提案が試みられてきた。一九九五年、新井誠教授が論稿「任意後見法と信託」において、信託の「意思凍結機能」を利用した「任意後見結合型裁量信託」を提案されたのもそのひとつである。当稿は、本人の自己決定権が最も尊重される、高齢に伴う意思能力低下に備えたストラクチャーとして、大きな影響を与えた。筆者も当稿の影響を受け、以前、受託者と任意後見人を異なる者とする信託・任意後見の融合スキームを提案した。しかし、小家族化が進む中、関係者をいたずらに増やすことは現実的でなく、また費用負担も重くなるため、本稿では、親族を受託者兼任意後見人、職業専門家を任意後見監督人とする前提の下、同一人（親族）が受託者兼任意後見人に就任することが可能かにつき、受託者と任意後見人が負う義務の面から検討を行う。departmental bulletin pape